購入した仮想通貨を保管したり、送金したりするのに必ず必要なのがウォレット
ウォレットがない限り仮想通貨を始めるこができません。
では、ウォレットとはいったいどのようなものなのでしょうか。
ウォレットは英語で「財布」を意味しています。
ウォレットと財布の共通点や違いはどこにあるのか、仮想通貨におけるウォレットの役割・種類・使い方を分かりやすく解説します。
ウォレットとはどのような役割をもつのか?
まずウォレットとは何のことなのかを確認しておきましょう。
ウォレットは仮想通貨における銀行口座のようなものです。
仮想通貨を預けておくことができますし、仮想通貨の入出金や送金が可能です。
ただ、仮想通貨は目に見えず触れることもできないので、入出金とは2つの異なるウォレット間の送金を意味します。
銀行口座のような役割を果たすのがウォレットですが、違いもいくつかあります。
銀行口座にお金を入れておくと利子が付きますが、ウォレットに仮想通貨を保管しても利子はつきません。
ウォレットでできることをまとめると次のようになります。
- 仮想通貨の保管
- 仮想通貨の出金(別のウォレットへの送金)
- 仮想通貨の入金(別のウォレットからの送金)
銀行口座には普通と当座の2種類の口座があり、その他にも証券会社でつくる証券口座など様々な種類の口座があります。
一方のウォレットには保管場所によって5種類のウォレットがあります。
具体的には以下の5つです。
- PC上のウォレット
- WEB上のウォレット
- スマホのウォレット
- ハードウェアのウォレット
- 紙のウォレット
ウォレットに仮想通貨を送金する方法や使用方法とは?
次に、ウォレットの使い方を見ていきましょう。
ウォレットには銀行口座での口座番号にあたるアドレスが設定されており、暗証番号にあたる秘密鍵というパスワードが必要になります。
アドレスは公開しても問題ありませんが、秘密鍵は自分だけが分かるようにしておきましょう。
特徴は以下の通りです。
アドレスは口座番号に比べると非常に長く、アルファベットと数字の組み合わせで作られています。
ネット上に公開しても問題ありません。
◆秘密鍵の特徴
秘密鍵は再発行が不可能な唯一無二のパスワードです。
秘密鍵を失えば二度とウォレットから仮想通貨を取り出すことはできません。
再発行はできませんし、リセットして作り直すこともできません。
ウォレットへの送金手順
アドレスと秘密鍵の特徴を理解したところで、送金の手順です。
1. 相手先アドレスの指定
2. 送金額の指定
3. 送金の確認
以上の3ステップです。
非常に簡単なのですが、注意点がいくつかあります。
送金時の注意点 アドレスを間違えない
送金するには、送金先のアドレスを正確に入力することが必要です。
アドレスは非常に長い文字列であるため、相手先から指定されたアドレスをコピペしたりQRコードを利用します。
手入力はおすすめできません。
間違えたアドレスを誰かが利用しているものであれば、そのウォレットの持ち主が返金してくれる可能性もあります。
しかし、誰も利用していないアドレスだと秘密鍵が設定されていませんので、決して取り出すことができないのです。
アドレスの指定時には素直にコピペかQRコードを利用しましょう。
送金時の注意点 手数料がかかる
仮想通貨の送金は、銀行口座の送金に比べて短時間で完了します。
手数料に関しては、銀行口座間の送金手数料に比べるとはるかに安くなりますが、手数料がかかることには違いありません。
送金にかかる手数料は利用するウォレットや送金する仮想通貨の種類によって異なります。
しかし、あまりにも少額の仮想通貨の送金は受け付けてくれませんのでよく確認しておく必要があります。
ウォレットの種類や特徴とそれぞれのメリット・デメリット
保管する場所によって5種類のウォレットがあるということを述べましたが、以下の表がそれぞれのウォレットの特徴をまとめたものになります。
大切な資産である仮想通貨を保管するわけですから安全性が重要になります。
また、送金のしやすさなどの利便性もウォレットを選ぶ際の指標になるでしょう。
種類 | 安全性 | 利便性 | リスク |
---|---|---|---|
PC(デスクトップ) | △ | △ | 故障、ウイルス、ハッキング |
WEB | × | 〇 | ハッキング、ウイルス |
スマホ | 〇 | ◎ | 故障、ウイルス、ハッキング |
紙 | ◎ | × | 高温多湿、破損、紛失 |
ハードウェア | 〇 | △ | 破損、紛失 |
上記の表の上3つはネットに接続した状態で利用するウォレットでホットウォレットと呼ばれます。
逆に、紙やハードウェアのようにネットから切断された環境で利用するウォレットをコールドウォレットと呼びます。
次の項目でホットウォレット、コールドウォレットそれぞれの特徴を細かく解説します。
代表的な3つのウォレットの保管方法を紹介
ホットウォレットとコールドウォレットのうちより一般的に利用されているのがホットウォレットです。
取引や送金をするために、ネット環境が必要になってきますが、利便性という意味ではホットウォレットに軍配があがります。
PC、WEB、スマホそれぞれのウォレットの特徴、メリット・デメリットを以下にまとめてみました。
PC(デスクトップ)内にウォレットを作成した場合
ソフトウェアをダウンロードしてデスクトップ上にウォレットを作成することができます。
最初の設定時には大量のデータをダウンロードする必要があるために利用開始まで時間がかかりますが、機能が豊富で使いやすいのが特徴です。
マイニングと呼ばれる方法で新規発行の仮想通貨がもらえる可能性もあります。
PCをインターネットに接続しない場合はコールドウォレットとしても利用できます。
仮想通貨の取引や、長期の保管にも利用できるのがPCウォレットです。
自分のPCに仮想通貨を保管するため比較的安全
インストールするだけで誰でも利用できる
PC上で操作でき、機能も豊富なので使いやすい
ウィルス感染時やハッキング被害にあった時に仮想通貨を盗まれる可能性がある
PCが故障すると仮想通貨を取り出せなくなる
初期設定に時間がかかる
代表的なソフトウェアとしては下記のようなものがあります。
- Electrum
- Copay
- mSIGMA
- Bitcoin Core
WEBにウォレットを作成した場合
WEB上でウォレットサービスを提供しているサイトを利用して自分のウォレットを作成することもできます。
代表的なサイトは以下の通りです。
- Coinbase
- BlockChain.info
- Coinapult
- BitGo、GreenAddress
サイト上にウォレットを作成するためにサイトのIDとパスワードで管理するのですが比較的簡単に利用できます。
EdgeやChrome、Firefoxなど最近のインターネットブラウザはログイン情報を自動保存してくれます。
非常に便利ですが、他人に自分のPCを利用されてしまうケースでは、簡単に情報が盗まれる可能性もあります。
ログイン情報がIDとパスワードだけだとセキュリティ面で不安が残りますので、2段階認証の設定をしておく方がいいでしょう。
WEBウォレットは安全性に不安はありますが、仮想通貨の取引や送金には便利です。
利用方法を限定し、少額の仮想通貨を保管しておくのに向いています。
設定が簡単ですぐに使える
外出先でもどこからでもPCやスマホからアクセスできる
第三者に管理を任せることになる
ハッキング被害にあいやすくリスクが最も高い
サイト自体が閉鎖される可能性もあり、その場合預けていた仮想通貨は取り出せない
スマホにウォレットを作成した場合
スマホにアプリをダウンロードすることで、スマホ自体をウォレットにすることができます。
PCにソフトウェアをインストールする場合と同じく誰でも簡単に利用できます。
スマホからの利用は非常に便利です。
送金アドレスをQRコードで表示したり、逆にQRコードを読み込んで簡単に送金することができます。
セキュリティ面でもWEBウォレットに比べるとハッキングの被害にあいにくく、持ち運びにも便利ですなので、実店舗での決済にはもってこいのウォレットです。
なお、仮想通貨をスマホではなくWEB上に保管する形式のものは、アプリであってもWEBウォレットに分類されます。
持ち運びしやすくどこでも使える
実店舗での支払いでは断トツの使いやすさ
ホットウォレットの中では安全性が高い
スマホの故障や、紛失のリスクがある
マルウェアなどのウィルス感染のリスクがある
取引所が提供するウォレットアプリ
ここまでご紹介したPC、WEB、スマホを利用したウォレットの他に、仮想通貨の取引所が提供しているウォレットアプリがあります。
PCから利用すればWEBウォレットのような使い方やスマホアプリからの利用であればスマホウォレットのような使い方ができますが、基本的にはWEBウォレットの一種ですから管理は取引業者任せになります。
国内の代表的な取引所のウォレットの特徴とメリット・デメリットも確認しておきましょう。
1 bitFlyer
ビットコイン取引量国内No.1のビットフライヤー
ビットフライヤーではメールアドレスだけでウォレットを利用することができます。
最高のセキュリティと支払い時にアドレスの入力が不要なbitWireが利用できます。
またビットフライヤーではハッキング被害に500万円までの補償をしてくれます。
ビットフライヤーのスマホアプリではビットコインとイーサリアムの取引が可能!
ウォレットアプリの特徴的な機能として「Pay」機能があります。
「Pay」機能を利用することでFacebookやLINE、メールでもビットコインを送金することができます。
最高強度のDigiCert次世代暗号を利用し安全性はかなり高い
万が一の場合に500万円の補償がある
取扱仮想通貨がビットコイン、イーサリアム、ビットコインキャッシュ、イーサリアムクラシック、ライトコインと種類が限られている
2 Coincheck
コインチェックは世界最大級の取引量と、取扱い仮想通貨の多さが特徴の取引所
専用アプリがリリースされており、スマホからウォレット機能を利用するのに便利な取引所です。
登録にはメールアドレスまたはFacebookアカウントが必要ですが、1分ほどで完了します。
QRコードを利用した送金や、受取口座情報もQRコードで表示することができるので、ビットコインでの決済がスムーズに行えます。
また、ビットコインの価格チャーとのリアルタイムでの確認が可能です。
なお、アプリでは会員登録をしなくてもチャートの確認が可能です。
登録から利用までが1分で完了する
リアルタイムチャートで仮想通貨の売買にも使える
クレジットカードでも仮想通貨が購入できる
仮想通貨の取引時の価格差である「スプレッド」が広い
3 Zaif
モナーコインやネムなど、他の取引所で扱っていない仮想通貨を扱っているZaif
取引手数料もマイナスになっており、取引するほどお金がもらえる仕組みも特徴です。
Zaifが提供しているスマホアプリではビットコインの送金受取やビットコインの売買が可能です。
最大の特徴は複数のアドレスでウォレットを管理できること
- 売買用のウォレット
- 保管用のウォレット
- 決済用のウォレット など使い分けが可能です。
複数のアドレスを管理できる
送金履歴が確認できるので、間違いが少ない
仮想通貨の保管にはコールドウォレットが採用されている
アプリへのログインにtouchIDなどが使えず、利便性が低い
オフライン型(コールドストレージ)で保管する方法
ここまででご紹介したホットウォレットはオンラインで利用するため、どうしてもセキュリティ面での不安が残ります。
ハッキング被害への最大の対策は、ネットワークに接続しないことです。
ネットワークに接続せずに仮想通貨を保管する方法にはどんなものがあるでしょうか。
それが紙と専用ハードウェアによる保管です。一覧表でご紹介したように、安全性が高い代わりに利便性が低くなります。
大きな金額の仮想通貨を長期に保存する場合などに利用されることが多いです。
コールドウォレットを利用する場合にはいったんオンラインのウォレットからオフラインに移す必要があります。
仮想通貨自体はオンラインでやり取りされるため仕方のないことですが、コールドウォレットの利用にはそれなりの手間がかかってしまいます。
利便性ではオンラインのウォレット、安全性ではオフラインのウォレットを利用するのがいいでしょう。
紙ベースのウォレット
仮想通貨であるにも関わらず紙幣のように紙で保管することができます。
アドレスと秘密鍵といった仮想通貨の情報を紙に印刷することで、紙ベースのウォレットが作れます。
ペーパーウォレットを支払いに利用することも可能です。
その場合は一度使ったペーパーウォレットのアドレスは二度と利用できません。
この点もセキュリティとしては安全です。
ただし、ペーパーウォレットを作成する段階でハッキングをされる可能性も否定できませんから、絶対に安全とは言えません。
紙での保管ですから、紙やインクの劣化や水濡れなどのリスクもあります。
安全面ではウォレットの中では一番
紙の保管方法によってはすべてが失われる可能性がある
通常の取引で利用するには利便性が低い
ハードウェアウォレット
紙のウォレットの他に、仮想通貨の保管専用の装置を使ったハードウェアウォレットもあります。
ハードウェアウォレットは普段はオフラインで保管するのでセキュリティ面での安全性が高いのが特徴です。
ハードウェア上に仮想通貨を保管する際にPCと接続するため、PCがウィルスに感染している場合など紙ウォレットに比べると多少はリスクが高くなります。
紙のウォレットに比べて保管がしやすいハードウェアウォレットですが、専用の装置のため高価になります。
利用のハードルが最も高いウォレットとも言えます。
オフラインに保管するためハッキング被害にあいにくい
紙に比べて保管がしやすく、移動の際にも便利
ハードウェアが高価で導入しにくい
故障やデータ消失のリスクがある
取引所に置いてあると盗まれるという噂があるけど…ビットコインを購入したらウォレットに保管したほうが安全?
仮想通貨ではセキュリティの問題が最も需要になります。
特にマウントゴックス事件依頼、安全面での不安が急激に高まりました。
マウントゴックス事件とは2014年に起こった事件で、28億円分のビットコインが失われた事件です。
マウントゴックスは当時世界最大級のビットコイン取引所でした。
そのマウントゴックスがハッキング被害にあい、65万ビットコイン、当時のレート28億円分のビットコインが盗まれたというのです。
マウントゴックスが保有していたビットコインはマウントゴックスで取引をしていた顧客のビットコインです。
つまり、マウントゴックスのウォレットがハッキング被害にあったというのです。
実際には、ハッキング被害も多少あったものの、大部分はマウントゴックスの代表だったカルプレスによる横領だった、という落ちまでついています。
いずれにせよこの事件以降WEBウォレットの保管方法や管理体制についてネガティブなイメージを持たれることが多くなったのは事実です。
では現在の取引所ウォレットはどうでしょうか。
ここまで見てきたように、安全面で言えばWEBウォレットが一番リスクの高いウォレットです。
取引所のウォレットは一種のWEBウォレットです。
しかし、取引所では預かり資産の一部をコールドウォレットによる保管に移行したり、複数人の署名がなければ仮想通貨を移動させられないマルチシグの採用など、セキュリティ対策を強めています。
だから安全というわけではありませんが、以前に比べれば安全性は格段に高まっています。
ある程度の自由に使うだけの仮想通貨は取引所のウォレットに保管しておき、大量の仮想通貨についてはその他のより安全なウォレットに移す方がいいでしょう。
結局のところ一番最適な保管方法は何?
ここまで読んできた読者の中には、結局どのウォレットが一番いいの?と思っている方もいらっしゃるでしょう。
安全性が高い紙のウォレットであっても、紙を紛失したり、印字が見えなくなるなどのリスクはあります。
利便性の高いスマホウォレットであっても、ビットコイン以外の仮想通貨の保管ができないものがほとんどです。
仮想通貨の最適な保管方法は、複数のウォレットを用途に合わせて使い分けることです。
現状では仮想通貨の用途としては実店舗での決済、比較的大きな取引での送金、短期投資、長期投資があります。
それぞれの用途別のおすすめのウォレットがこちらです。
- 実店舗での決済 スマホウォレット
- 大きな取引の送金 PCウォレット、WEBウォレット
- 短期投資 PCウォレット、WEBウォレット(取引所のウォレット)
- 長期投資
・取引:取引所のウォレット
・保管:コールドウォレット、PCウォレット
長期投資では積立てなどで保有する仮想通貨の量が増えてきます。
その際、ある程度の量をPCウォレットやハードウェアや紙ウォレットに移しておくと安心です。
まとめ
仮想通貨を扱う上でなくてはならないのがウォレットです。
ウォレットは「財布」という意味が示すとおり、仮想通貨の保管や支払い時に利用します。
大きく分けてオンラインで保管するホットウォレットとオフラインで保管するコールドウォレットがあります。
▶安全性ではコールドウォレット
▶利便性ではホットウォレット
上記のようにそれぞれの特徴があります。
ウォレットを選ぶ際は、保管しておく仮想通貨の用途を見極めてそれぞれの用途に応じた適切なウォレットを選ぶことが重要なのです。