2018年に入り、仮想通貨全体には逆風ともいえる風が吹いています。
しかし、逆に考えると、どの通貨も割安になっているとも言えます。大切なことは通貨の機能や使い道から将来性をしっかりと見極めることです。
今回ご紹介するコモドは、法定通貨と紐づけされ、仮想通貨のスピーディーで便利な面と、法定通貨の信頼性のいいとこどりをしています。
実際にはどのように使われるのか、競合となる仮想通貨はあるのか、概要から特徴、値動きや将来性、リスクについてお伝えします。
Komodoとは
それではまず、Komodoの概要について見ていきましょう。Komodoというのは仮想通貨プラットフォームの名前で通貨名としてはKMDが使われます。発行枚数は2億KMDと多めになっています。
Komodoは匿名通貨として知られているZcashのゼロ知識証明の技術を取り入れるなど他の仮想通貨との連携を図っている通貨としても知られています。そんなKomodoは2016年9月に公開されました。
その他、公式ホームページやホワイトペーパーについては下の表にまとめてあります。
・Komodoの概要
発行単位 | Komodo(KMD) |
---|---|
呼称 | コモド(ケイエムディー) |
発行総数 | 2億KMD |
公開日 | 2016年9月1日 |
価格決定方法 | 保有者間での自由売買 |
公式サイト | https://komodoplatform.com/en |
ホワイトペーパー | https://komodoplatform.com/wp-content/uploads/2018/03/2018-03-12-Komodo-White-Paper-Full.pdf |
開発者 | SuperNET |
取引所 |
・Binance ・bittrex ・Cryptpia |
KomodoはもともとICOプラットフォームとして設計されています。
ICOプラットフォームというと国内ではCOMSAが注目されていますが、他の仮想通貨との連携という面白い仕組みを持っているのがKomodoです。
ICOプラットフォームということでセキュリティ対策には特に力を入れており、前述したように、Zcashのゼロ知識証明の技術を取り入れています。
また、セキュリティ面だけでなく使い勝手の面でも工夫が見られます。独自の承認技術であるdPOWを採用し、処理速度の速さも併せ持っています。
さらに、KMDが法定通貨と紐づけられているため、実際に決済通貨として利用しやすい設計になっています。
このように、Komodoは非常に柔軟な発想の下、他の仮想通貨のいいところを取り入れており、今なお研究が続けられている仮想通貨です。
Komodoの特徴と仕組み
Komodoの概要について見ていきましたが、Komodoが持つ機能上の特徴を詳しく見ていこうと思います。
Komodoの特徴としては以下の3点がポイントとなります。
- 匿名性
- セキュリティ
- 他の通貨との連携
それぞれのポイントごとにKomodoが持つ特徴を見ていきましょう。
ゼロ知識証明を取り入れ、匿名性の高い取引が可能
Komodoは匿名性通貨として知られているZcashの最大の特徴であるゼロ知識証明の技術を取り入れています。
そのため、Komodoプラットフォーム上では匿名性の高い取引が可能となっています。他の通貨の技術を柔軟に取り入れている点が評価できるだけでなく、実際の機能面での充実することになっています。
しかし、2018年3月に行われたG20ではマネーロンダリングへの懸念から匿名性の高い通貨に対する規制の流れもありそうです。
本来、仮想通貨は資金の流れがたどれるため、マネロンには適していない。各国が対策を強化すれば犯罪に使われるケースは大幅に減るだろう
【G20】仮想通貨でマネーロンダリング、“抜け道”塞げるか 各国の協調が課題 - サンケイビズ
それでも仮想通貨を実際に決済に使う人の中には匿名性を求める人も多いため、非常に優れた機能であることには変わりありません。
ちなみに、ゼロ知識証明とは「この情報は正しい」という情報以外の情報を与えずに該当する情報が正しいことを証明する技術のことです。つまり取引の内容、金額、取引をする人の情報は一切外部に知られることなく、取引が承認されるシステムです。
また、Zcashのゼロ知識証明で指摘されていた処理速度の遅さも改善しているので、匿名性と使い勝手の両立を可能にしています。
セキュリティ対策としてのdPOW
Komodoには非常に画期的な承認システムとしてdelayed Proof of Work(dPOW)を採用しています。これは遅延作業証明と呼ばれ、Bitcoinのハッシュレートのリサイクルして使うことができるシステムです。
ノードを通じてBitcoinブロックチェーン上のブロックを公証できるため、セキュリティが劇的に向上しています。
どういうことかというと、Komodoプラットフォーム上の情報を改ざんするためにはBitcoinブロックチェーンを攻撃する必要があるということです。ブロックチェーンのセキュリティは強固な上、ブロック数も多いため、改ざんは一筋縄ではいきません。
さらに、Bitcoinのブロックチェーンと接続できることにはメリットがあります。KomodoはICOプラットフォームとして設計されています。ICOを実施する仮想通貨は当然ながら、誕生から間もない仮想通貨であり、ブロックチェーンも未熟で改ざんの可能性があります。
ところが、セキュリティが脆弱な新米の仮想通貨であってもKomodoを介してBitcoinブロックチェーンと接続できるためセキュリティが劇的に向上するのです。
法定通貨や他の仮想通貨との紐づけでより使いやすく信頼性が高い
Komodoプラットフォームで利用される仮想通貨のKMDはドルや円などの法定通貨との紐づけがされています。USDテザーをイメージしてもらうと分かりやすいと思います。法定通貨との紐づけがあることで有利な点をいくつかあげておきます。
- 法定通貨と仮想通貨の交換が簡単(取引所で売買する必要なし)
- 価格の推移が分かりやすく決済に使いやすい
- 決済がスピーディーで安心して使える
法定通貨との紐づけがあることで、いつでも簡単にKMDからドルに交換したり、ドルをKMDに交換することができます。そのため非常に使い勝手がよく、決済スピードも仮想通貨の特性を活かして非常にスピーディーになります。
ここまで見てきたようにKomodoプラットフォームを利用することで、使い勝手がよく、かつ安全な決済取引が可能になるのです。
考えられる使用用途
Komodoプラットフォーム自体はICOのプラットフォームとして設計されています。Komodoプラットフォームで新しい仮想通貨を発行することで、独自のブロックチェーンを一から構築するよりも何倍も速く、そしてコストを抑えることができます。
Komodoの特徴としてdPOWがあることから、まったく新しい仮想通貨であってもセキュリティ面では信頼できるものになります。
さらに、他の仮想通貨との紐づけも研究されており、仮想通貨同士の取引もスムーズになることが期待されています。
ICOプラットフォームとしての将来性
将来的には、ICOプラットフォームとして仮想通貨界全体をけん引することが期待されていましたが、同様の機能を持つ仮想通貨が増えていることから存在感が薄まっているのが現状です。
ただ、他の仮想通貨との紐づけ、特にビットコインやイーサリアムとの紐づけが完了すれば唯一無二の仮想通貨として、価格の上昇も大いに期待でそうです。
実際、戦略的パートナーであるMonaizeはKomodoプラットフォームを利用した初のICOとなります。
Monaizeは、仮想通貨の技術を利用してスマホを通じた支払いをスムーズにするプロジェクトです。
Komodoの買い方・購入手順
Komodoは2018年3月現在3つの取引所で購入することができます。
- Binance
- bittrex
- Cryptpia
今回はこの中でも最も使いやすいBinanceでの購入方法をご紹介します。
ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、Binanceでは日本円での購入はできません。あらかじめ、BTCかETHを国内の取引所で購入しておいてください。
Binanceでの購入ステップは以下の3つです。
- 入金
- 取引画面に移動してKMDを検索
- 購入額、購入量を入力
ひとつずつ解説していきます。
1.入金
Binanceに入金するには、BTCアドレスまたはETHアドレスを調べる必要があります。今回はBTCを入金するケースでご説明します。
1)Binanceにログイン
2)画面右上のBalanceをクリック
3)BTCを検索
4)Depositをクリック
5)表示されるアドレスをコピー
6)BTCを購入した取引所にログイン
7)出金画面に移動
8)出金先アドレスに5)でコピーしたアドレスを貼り付け
9)入金量を入力して出金
以上でBinanceへの入金は完了します。出金手続きをしてから入金までには時間がかかるので余裕をもって入金はしておきましょう。
2.取引画面に移動してKMDを検索
Binanceの取引画面に移動し、KMD/BTCを探します。
検索窓にKMDと入力するとすぐに出てきます。BTC建て以外にもETH建てもあるので間違えないようにしてください。
頻繁に取引する場合には☆マークをクリックしておくとお気に入りに追加することができて便利です。
3.購入額、購入量を入力
KMDの取引画面に移動します。チャートや板情報が表示されるので、チャートの下の部分に注目します。
そこに購入額と購入量を入力し、「BUY」をクリックすると購入が完了します。
購入額はチャートや板情報を参考に決めるといいでしょう。購入量については手持ちのBTCで購入できる分を調整します。画面に購入に必要なBTCが表示されるので分かりやすいですよ。
Komodoの価格推移とチャートの形状
冒頭でお伝えした通り、仮想通貨にとって大切なことは、一時期の高騰ではなく機能面での充実度です。その点、KomodoについてはICOプラットフォームとして十分な機能、セキュリティを備えています。そんなKomodoの今後の価格上昇の期待値について考えていくことにします。
まずは、チャートを見ながらこれまでの価格推移を分析してみましょう。2017年は仮想通貨元年と言われ、多くの仮想通貨が2017年3月後半から価格を上昇させています。
しかし、Komodoはそのタイミングでの価格上昇はなく、ゆっくりと6月にかけて上昇していき250円ほどまで上がりました。
その後、チャイナショックと呼ばれる価格下落傾向を経て、9月初旬に高値を更新し370円近くまで上がりました。この頃からアルトコイン全体への注目が高まり、2017年12月の大暴騰を受け1250円を超える高値を記録しています。
年は明けて2018年、さらなる上昇が期待されましたが、コインチェック問題等から下落し続け、執筆時2018年3月29日現在では250円前後となっています。
チャートの動きを見る限り、機能面への失望というよりも仮想通貨全体の上げ下げに連動して動いているという印象を受けます。今後ICO関連の法整備等がなされ国際的な基準が作られると、Komodoの強みが活かされる時が来るでしょう。
価格上昇が期待できる材料とは
2017年が仮想通貨元年と呼ばれるように、2018年はICO元年になると言われています。
ICOと言えば日本国内ではCOMSAに注目が集まっています。同じくICOプラットフォームであるKomodoもICO環境が整うことで値上がりが十分期待できます。
KMDの価格上昇の期待材料としては具体的には以下の3つが考えられます。
- G20を契機に国際的な基準作りが始まる
- ICOがますます盛んになってきている
- 法定通貨との紐づけによる安心感
2018年のG20にて仮想通貨が議題に上がりました。そこでは仮想通貨自体を否定する意見はなく、むしろ好意的に受け止めつつ、国際的な基準作りの必要性が議論されました。
基準が整備されることはKomodoのようなプラットフォーム型の仮想通貨にとっては有利になります。なぜならば、基準にのっとった新しい仮想通貨をICOで発行することができるからです。プラットフォーム型でなく、独自のブロックチェーンを持つ仮想通貨の場合、基準を満たさない場合、そこで終了してしまいます。
開発チームの柔軟な対応もありますし、新しい基準作りはKomodoにとっては追い風になるでしょう。
- ICOが盛んになればなるほど、Komodoの知名度、価値は上昇する
- 多くの国ではICOについてのガイドラインを作成し、ブロックチェーン技術の進展を目指している
- ICOを禁止する中国のような国は別
この流れが続く限り、Komodoの存在感はましていくことが容易に想像できます。具体的にはMonaizeのようなプロジェクトが成功することで、プラットフォームとしてKomodoの価値が認められていくでしょう。
さらに、仮想通貨を利用する場合にもKomodoには優位な特徴があります。それが法定通貨との紐づけです。
- 価値の担保が分かりやすくなる
- 決済に利用するハードルが低くなる
- 頻繁に使われることでその価値も上昇していく
仮想通貨は使われなければ、つまり、送金されなければ成り立ちません。その点において、法定通貨との紐づけのあるKomodoは有利だと言えます。
下落リスク(材料)と懸念点
Komodoの価格上昇が十分に期待できる一方で、リスクも当然あります。リスクは価格上昇の材料と表裏一体になっているため、注意が必要です。念のためにもう一度整理しておきます。
- 仮想通貨についての国際的な基準が作られ始める
- ICOが盛んになっている
- 法定通貨との紐づけ
国際的な基準が作られることで、逆にICOがしやすくなるという点を指摘しましたが、同じG20ではマネーロンダリングに対する懸念も示されました。おそらくですが、匿名通貨と呼ばれる仮想通貨に対する規制が厳しくなるものと予想されています。
ゼロ知識証明自体が規制されるとKomodoが立ち行かなくなる可能性もあります。
⇒Komodoのようなプラットフォーム型の仮想通貨の価値が上昇
⇒裏を返せば、他のプラットフォーム型の仮想通貨も注目される
何度も引き合いに出しているCOMSAや、多くのアルトコインで利用されているイーサリアム、さらにはNEOなど次々と同様の機能を持つ仮想通貨が発行されています。
その中でKomodoが埋もれてしまう可能性も否定できません。類似の仮想通貨によってKomodoの存在感が薄まるリスクは認識しておくべきでしょう。
法定通貨との紐づけは安心につながります。
ところが、そもそも仮想通貨は法定通貨のような中央集権的なものから脱し、非中央集権的な取引を目指すものなのです。そのため、Komodoが進もうとする方向と、仮想通貨全体が目指す方向がずれていくことがあり得ます。
そうなった場合には、Komodoは仮想通貨全体の流れから取り残され、最悪の場合、消滅するというリスクもあります。
まとめ
Komodoの機能、価格上昇の期待、リスクについて見てきました。Komodoは機能面では使い勝手、セキュリティの高さなど優れた点があります。他の仮想通貨の技術を取り入れたり、他の仮想通貨との紐づけを研究するなど、柔軟な開発姿勢にも好感が持てます。
Komodoのどのような点が安心、安全につながるかもう一度おさらいしておきましょう。
- 法定通貨との紐づけ
- Bitcoinのブロックチェーンを利用することによるセキュリティ対策
- ゼロ知識証明技術による高い匿名性
KomodoのようなICOプラットフォーム型の仮想通貨が今後どのように成長していくのか、それはそのまま仮想通貨全体の発展にも関連する重要な視点です。2018年初頭の仮想通貨にとって冬の時代ともいえる時期をどのタイミングで脱するのか、注目しておきましょう。