仮想通貨の基礎知識

仮想通貨取引所はほんとうに安全?マウントゴックス事件から考察する

取引所を安全に利用できる「取引所向け保険」も誕生!その内容は?

「マウントゴックス事件」という仮想通貨の横領事件をご存知でしょうか?
ビットコインが有名になりつつある時期に起きたこの衝撃の事件は、「仮想通貨ってやっぱり怖い」というイメージを植え付けました。マウントゴックス事件は大きな混乱となりましたが、現在では混乱は収束し、仮想通貨の普及が順調に進んでいます。しかし、今後「マウントゴックスの二の舞い」となってしまう取引所が出る可能性はないのでしょうか?

ここでは、マウントゴックス事件の真相や、他の取引所が倒産する可能性はないのか、倒産しない取引所を見抜く方法はあるのか、などについて解説します。

取引所「マウントゴックス」は倒産ではなく、社長の「横領」だった!

最大級の取引所「マウントゴックス」が倒産。こんな報道を見かけた方も多いのではないでしょうか?

しかし、実はこの報道は間違っている部分があるのです。マウントゴックスが破産した理由は、社長の「横領」で、ただの倒産ではありません。自社に預けられていた顧客(投資家)の資産が莫大にあり、その一部を横領したというのです。

「マウントゴックス事件」の経緯は?どのようにして事件は起きたのか

「マウントゴックス事件」は2014年に発生した、仮想通貨取引所の中で当時最大級の規模を誇った「マウントゴックス」が破産した事件です。
当時は「ビットコインって面白いんじゃない?」と海外で関心が集まりつつあった時期で、マウントゴックスについても将来が期待される会社でした。

しかしある日突然、マウントゴックスの取引がすべて停止。
公式サイトも削除。その後なんと、大量のビットコインがマウントゴックスから失われていることが発覚します。マウントゴックスは取引所なので、顧客(投資家)などから預かっている多額の預り金がありました。

これが失われたとあっては取り返しが付きません。そして、現在も多くは持ち主に返金されてない現実があります。

ビットコイン取引所「マウントゴックス社の倒産」は間違った報道だった

これを受けて、マウントゴックス側はハッキング被害を受けた経緯を説明。
社長自らが会見を行い「サイバー攻撃によりビットコインを失った」と謝罪しました。

しかし実は、これはハッタリであり、なんと社長が顧客のビットコインなどを「横領」していたことが発覚。
たしかに社長の訴えの通り、サイバー攻撃によりビットコインを失った形跡はあるものの、サイバー攻撃で失ったコインは全体の1%程度に過ぎなかったのです。

これをきっかけに、社長の決して許されない行為が世界中に知らされることなりました。

マウントゴックス社は倒産したが、他の取引所は倒産する可能性はあるのか?

マウントゴックス事件は2014年の出来事であり、現在となっては過去の事件だと感じるかもしれません。
しかし、本当にそうでしょうか?

まず懸念されることは、「他の取引所はマウントゴックスのようになる心配はないのか?」ということです。
マウントゴックスのケースでは、社長に悪意があったため例の事件に発展しました。同じように、現在営業している取引所に悪意があれば、マウントゴックスの二の舞いになってしまうのでしょうか?

「マウントゴックス」の倒産を「社長が悪い」で片付けてはいけない

マウントゴックスを利用した顧客は、まさか自分の資産を横領されるとは考えていないでしょう。
顧客はあくまで、取引所を信じるしかないのです。その点、社長の横領事件は決して許されるものではありません。しかし、それだけで片付けてしまってよいのでしょうか?他に原因はなかったのでしょうか?

もっとも大きな原因は、「社長がその気になれば横領できてしまう管理体制」にあります。
当時、仮想通貨取引所に関する法整備がまだ進んでおらず、野放しになっていました。取引所にとっては、なにも縛りがない状態です。
2014年のマウントゴックス事件は最近の出来事ですが、数年間で法整備が進みつつあります。

日本では、2017年4月から「改正資金決済法」が施行されました。
取引所はすべて「登録制」になり、資本金は「1,000万円以上」が求められ、外部の「監査」が義務付けられ、資産の管理方法も見直しが求められるようになりました。

結果として、以前よりは安心感がある。マウントゴックスの二の舞いの取引所が現れる可能性は、以前よりは低くなっているといえるでしょう。

今ある仮想通貨取引所がマウントゴックスの二の舞いになる可能性はどのくらい?

気になるのが、「現在の取引所はほんとうに安全なのか?」「資産を横領される心配はないのか?」でしょう。
基本的には、上述の通りマウントゴックスの倒産などにより法整備を求める声が大きくなり、それが実現したことで以前よりは安心感が大きくなりました。

とはいえ、過去と現在とで変わらないものもあります。それは、「取引所が顧客の資産を管理している」ことです。

取引所に入金した瞬間から、お金はあなたの手を離れ、取引所が管理するのです。
このことを考慮すると、資産を失う可能性はゼロではないと考えざるを得ません。また、「仮想通貨取引所」と一言にいっても、取引所ごとに管理体制や「補償内容」が大きく異なります。

「取引所は安全なのか」と一括りにして考えるのではなく、「この取引所は安全なのか」を個々に検討すべきでしょう。
では、どんな取引所であれば安全性が高いといえるのでしょうか?

取引所向け「保険」が誕生!どんな補償内容を受けられるの?

たとえば日本円を「銀行預金」している状態で銀行が倒産し、預金の引き出しが不可となった場合、「ペイオフ」制度で預金が守られていることをご存知でしょうか?

これは公的機関の銀行だからこそ実現する補償であり、仮想通貨は自己責任が求められるのが基本でした。しかし最近、似たような保険が仮想通貨取引所においても適応されるようになっているのです。

仮想通貨取引所(事業者)向けの保険とは?顧客向けではない?

「保険」といえば、保険金を支払う代わりに万が一の補償を受けられるサービスですが、仮想通貨取引所においての「保険補償」とはどのようなものでしょうか?

これらの保険は、私たちが顧客として取引所を利用し、損害を受けた場合に補償金が支払われるもの。また、顧客は保険金を支払う必要はありません。
なぜなら、取引所が保険に加入しているからです。

「万が一取引所から顧客の資産が盗まれるなどした場合、顧客に対して補償する」という内容で、「取引所と保険会社」が契約しているのです。

具体的にはどのような補償が受けられる?その内容は?

取引所により内容は異なるものの、「万が一、取引所に預けた資産が盗まれた場合に補償する」というのが基本的な内容です。
サイバー攻撃などにより、取引しているビットコインが犯人に送金されてしまった。そのとき、莫大な金額が盗まれたことで取引所に支払い能力がなくなってしまっても、顧客の資産は守られるということです。

また、顧客には関係性は低いですが、サイバー攻撃などで取引所が受けた損害に対し、保険会社が取引所へ行なう補償(原因調査費用など、事故対応の対策費用など)も保険に含まれています。

安全な取引所を見抜くには?「保険補償」の内容をチェックしよう

「取引所が保険に加入しているなら安心だ」と胸をなでおろしている方もいるかもしれませんが、実は、「保険に加入している取引所」もあれば「保険に加入していない取引所」もあります。

マウントゴックスの二の舞いにならないためには、できれば保険に加入している取引所を選択したいところです。

保険に加入している国内取引所は「ビットフライヤー」と「コインチェック」です。
2017年6月現在、上記のような保険に加入している国内の取引所は「ビットフライヤー(bitFlyer)」と「コインチェック(coincheck)」の2つです。

逆にいえば、その他の国内の取引所は保険に加入していないということになります。とはいえ、今後仮想通貨の取引が盛んになるにつれ、保険に加入する取引所も増えていくでしょう。
では取引所が保険に加入しているかどうかはどのように判断できるのでしょうか?

取引所のホームページやニュースサイトをチェックしていれば、保険に加入した際情報が発信されるはずです。
気になる方は定期的にチェックしてみましょう。

保険に加入している取引所を利用するとどんな補償内容が受けられる?

「ビットフライヤー」と「コインチェック」では、どのような補償内容が受けられるのでしょうか?
取引所ごとに保険適用には細かい条件があり(二段階認証を設定している条件など)ますが、保険に加入していない仮想通貨取引所よりは補償面でのメリットが十分あるといえるでしょう。

ビットフライヤー補償内容

不正出金の損害額を「上限500万円」まで補償。
ただし、預かり資産が100万円以上の場合。以下だと「上限10万円」となります。

コインチェック補償内容

不正出金の損害額「上限100万円」を補償。

保険加入の取引所を選択した上で「資産を分散」させるなどの対策を

ここまで、仮想通貨取引所「マウントゴックス」の事件の詳細やその経緯、今の取引所がマウントゴックスの二の舞いになる可能性はあるのか、安全性の高い取引所をどのように見分ければよいのか、などについて解説しました。

このように、現在は仮想通貨の利用者が守られる仕組みが整いつつあります。
とはいえ、保険に加入している取引所を利用したとしても、上限金額が低めであることなど、決して万全とはいえません。なるべく信頼できる取引所を選択した上で、1つの取引所に資産を集中させず分散するといった対策が求められています。

結局どの取引所が一番良いの?

編集部イチオシの仮想通貨取引所はここ!!
仮想通貨取引所はどれを選んでも一長一短で、自分の投資スタイルに合ったものを選ぶのがベスト。ですが、どのように選んでよいのかわからないですよね。

適当に選べば
  • 手数料が思ったより高い
  • 思った価格で注文が入らない
  • しょっちゅうサーバーダウンする
といったトラブルに見舞われ、「こんな業者選ばなきゃよかった…」と後悔する羽目になってしまいます。

取引所の特徴を8つの観点から比較しておすすめ順に紹介していますので、自分にとって使いやすい取引所を選ぶようにしてみましょう。

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