2018年1月上旬、仮想通貨業界のニュースを専門的に取り扱っている情報サイト・CRYPTO WEEKLYが"THE 100 MOST INFLUENTIAL PEOPLE IN CRYPTO - 2018 EDITION -(仮想通貨業界で最も影響力のある人物100名・2018年版)"を発表しました。
仮想通貨は発展途上の分野であり、世界中の優秀なエンジニア達がより安全で利便性の高い仮想通貨を確立すべく日夜研究を重ねています。彼らの発言は時に市場の取引材料として意識されることもあるため、片時も見逃すことはできません。
今回発表されたリストは、業界に携わる数千人もの要人の中から特に世間の注目度の高い技術者、学者、ジャーナリストなどをピックアップしたものです。2018年のビットコイン・ブロックチェーンの見通しは彼らの言動に左右される可能性が極めて高く、ツイッターアカウントをフォローしておけば情報収集に役立つこと間違いなしです。
さすがに100名もフォローして逐一ツイートをチェックするのは大変です。ここでは個人的な主観によって厳選したおすすめの10名をご紹介いたします。ちなみに全て海外の人物なので、英語が分からない方は辞書を引くなりGoogle翻訳を使うなりして和訳してください。外国語の勉強もできて重宝することでしょう。(笑)
→THE 100 MOST INFLUENTIAL PEOPLE IN CRYPTO - 2018 EDITION -
Vitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)
出典:coinfeeds
Vitalik Buterin氏は、仮想通貨イーサリアムを発案したプログラマーです。1994年にロシアで生まれ、2011年にビットコインと出会ったことを切っ掛けに仮想通貨の技術開発にのめり込むようになりました。
彼の生み出したブロックチェーンプラットフォーム・イーサリアムには、取引データだけでなく契約事項も書き込める「スマートコントラクト」という技術が採用されています。ビットコインより極めて実用的な性能を有しており、様々な金融業界で応用される可能性があります。
2018年1月15日時点でイーサリアムはビットコインに次ぐ業界2位の時価総額を誇っていますが、2018年中に時価総額を現在の3倍に増幅させる計画があるとのこと。また、詐欺横行が問題視されているICOの分野に目をつけ、開発者の調達した資金の利用を制限することができる「DAICO」という新型ICOプラットフォームを発表したことでも話題になっています。
イーサリアムが落ち目のビットコインを追い抜くのはもはや時間の問題と見られており、Vitalik Buterin氏の今後の言動に強い関心が集まっています。
Charlie Lee(チャーリー・リー)
出典:cryptotimes
Charlie Lee氏は、仮想通貨ライトコインの開発者です。幼いころからアメリカで生活していた中国人エンジニアで、マサチューセッツ工科大学卒業後に世界的IT企業のGoogleで勤務していた経歴があります。アメリカの大手仮想通貨取引所・coinbaseでエンジニアリングディレクターを務めていましたが、ライトコインの開発に専念するため退社しました。
2018年1月15日時点でライトコインは業界5位の時価総額を誇る仮想通貨。ビットコインを改良して作られたものだけあって、ビットコインより処理速度が速く簡単にマイニングできる特徴が評価されています。
2017年12月下旬には、Charlie Lee氏が保有していたライトコインを7500%上昇後にすべて売却したことが報じられ話題となりました。開発者の言動は仮想通貨の価格の変動に大きな影響を及ぼすため、相場操縦を疑われるのを防ぐための措置だったようです。
ビットコインをライバル視しているライトコインが今後どのような展開を見せるか、Charlie Lee氏の発言に注目です。
余談ですが、Charlie Lee氏は大のドラゴンボールファンのようで、ツイッターの背景画像には悟空とベジータが映っているドラゴンボールの絵が設定されています。ちょくちょくドラゴンボール関連のツイートもしているようなので、アニメファンにとっても見ていて面白いアカウントと言えるのではないでしょうか。
Da Hongfei(ダ・ホンフェイ)
出典:fd
Da Hongfei氏は、中国発のパブリックブロックチェーンプロジェクト「NEO」の共同創設者にして、ブロックチェーンテクノロジー企業・Onchain のCEOです。2011年にビットコインと出会い、2013年からブロックチェーン業界に参入。翌2014年にNEOを立ち上げました。
NEOは「中国版イーサリアム」とも称される仮想通貨で、イーサリアムのスマートコントラクトを中心にいろいろな仮想通貨の長所を取り入れているのが特徴的です。
政府によって仮想通貨取引が禁止されている中国国内において、Da Hongfei氏はブロックチェーン技術の経済的価値を積極的に関係者に説いて回るほどの行動力を持った業界パイオニアとして知られています。Da Hongfei氏は将来的に中国政府が仮想通貨取引を解禁してくれると予想しており、その発言は中国の出方に注目している市場参加者に絶大な影響を与えます。
Brad Garlinghouse(ブラッド・ガーリングハウス)
出典:recode
Brad Garlinghouse氏は、リップル社のCEOです。1971年生まれのアメリカ人で、カンザス大学やハーバード・ビジネス・スクールで非常に優秀な成績を収め、ファイル共有サービス会社・ Hightailの社長やYahoo!、AOLなどの会社で役員を務めていた経歴があります。
2017年1月に創業者であるChris Larsen(クリス・ラーセン)氏が取締役会長に就任し、社長兼COOを務めていたBrad Garlinghouse氏が後任のCEOに就任しました。敏腕エージェントのBrad Garlinghouse氏をトップに据えることで、経営体制の強化を図るのが狙いだったようです。
リップルは、様々な法定通貨・仮想通貨の交換時に仲介的役割を果たす「ブリッジ機能」を搭載した仮想通貨。高額の手数料を支払う必要が無く、しかも極めて短時間で通貨の両替が可能なため、世界中の大手金融機関が送金システムとしての採用を検討しています。
2018年1月上旬には、一時イーサリアムを抜いて時価総額業界2位に到達しました。2018年1月15日時点では再び3位に転落していますが、イーサリアムとの熾烈な2位争いの行方は、Brad Garlinghouse氏にかかっていると言っても過言ではないでしょう。
Brian Armstrong(ブライアン・アームストロング)
出典:bitcoinist
Brian Armstrong氏は、アメリカの大手仮想通貨取引所・Coinbaseの共同創業者兼CEOです。宿泊施設情報サービス・AirBNBや自動車販売サービス・CarWooのエンジニアとして働いていた頃に仮想通貨と出会い、2012年に仮想通貨取引所・Coinbaseを立ち上げました。
Coinbaseはまだビットコインがそれほど世界的に認知されていない頃に創設された取引所であり、歴史の浅い仮想通貨業界の中でも老舗の部類に入ります。ビットコインの高騰によりユーザー数が増加し、アメリカ国内の証券取引所を上回ったことで話題になりました。
Coinbaseは企業としての信頼性を最も重視しており、口座開設の難易度が高く、取扱い銘柄数も非常に少ないという特徴があります。Coinbaseでビットコインキャッシュの取引がスタートした時には、発表の数時間前にビットコインキャッシュの価格が急上昇するという不自然な値動きが見られました。事態を重く見たBrian Armstrong氏は、ただちにインサイダー取引の調査を開始。仮想通貨相場の悪材料になったものです。
また、リップルがCoinbaseに上場するのではという噂が流れて急騰した際には、Brian Armstrong氏が否定的な発言をしたことでリップルの価格が急落しました。世界的取引所のトップの発言は、仮想通貨の価格に絶大な影響を及ぼすことがよく分かります。
Stephen Pair(スティーブン・ペアー)
Stephen Pair氏は、ビットコイン決済サービス・Bitpayの創業者兼CEOです。プログラマーとしてOSや仮想マシンなどの開発に携わり、IBMなど様々な企業を渡り歩いたのち2011年にBitpayを設立しました。
Bitpayは世界中の店舗に導入されている決済システム。スマートフォンやタブレット等の端末でアプリを起動し、金額を入力してQRコードを読み取るだけで決済が完了します。
クレジットカード決済端末機を導入すると、初期費用として数万円以上のコストがかかってしまうことが珍しくありません。その点、Bitpayなら導入費用は0円。ビットコインで買い物をしたい訪日外国人旅行者の集客につながるメリットがあり、エンドユーザーにとって使いやすいだけでなく、システムを導入する企業にとっても嬉しいサービスと言えます。
Bitpayの導入企業が世界的に増えれば、ビットコイン相場の好材料になります。Stephen Pairの経営戦略展開も見逃せない情報と言えるでしょう。
Jihan Wu(ジハン・ウー)
Jihan Wu氏は、マイニング企業・BITMAINの創業者です。1986年に中国で生まれ、北京大学にて経済学と心理学を専攻。投資マネージャーとして活躍していた頃、ビットコイン関連事業への投資を開始。2013年にBITMAINを設立しました。
BITMAIN社は、ビットコインのマイニング用ASICチップを開発・販売し、マイニングも行っている会社です。今や世界のマイニングマシンの大半にBITMAINのマイニングテクノロジーが導入されており、マイニング業界を根底から支えている存在と言っても過言ではありません。
ビットコインのスケーラビリティ問題の解決策が協議されていた頃、Jihan Wu氏はSegwit派に真っ向から反発し、ブロックサイズ拡張派を支援したことで有名です。(ブロックサイズが大きい方が多額のマイニング手数料を貰えて儲かるから。)
そして彼の後押しもあり、中国のマイニングプールがハードフォークを敢行。2017年8月にビットコインキャッシュが誕生しました。今でこそ当たり前になったビットコインのハードフォークは、Jihan Wu氏の存在がその起源と言っても過言ではありません。彼の発言は仮想通貨業界の関係者に絶大な影響を及ぼします。
Jonas Schnelli(ジョナス・シュネリ)
Jonas Schnelli氏は、ビットコイン公式クライアントソフトウェア・Bitcoin Coreの開発者です。また、ビットコイン用ハードウェアウォレット・Digital bitboxの製作者でもあります。
ビットコインの高騰により、今や多くのトレーダーがビットコインを単なる投資商品とみなしています。しかし、もともとビットコインは電子マネー決済システムとして開発されたものであり、売買取引によってキャピタルゲインを得るために誕生したものではありません。
Bitcoin Coreというソフトウェアをインストールすれば、ウォレットと同期させてデータを読み込み、端末上でビットコインの管理や送受信を行えます。ビットコインネットワークの様々な仕様を確認でき、オープンソースソフトウェアであるビットコインの本来あるべき使い方を楽しめます。
Bitcoin Core開発者は、ビットコインの運用をつかさどる主要メンバーの一部。彼らの発言内容によって、エンドユーザーには分からないビットコインの内情を詳しく知ることができます。
Roger Ver(ロジャー・バー)
出典:calvinayre
Roger Ver氏は、アメリカ合衆国出身の投資家です。1979年にカリフォルニア州シリコンバレーのサンノゼに生まれ、若くして立ち上げたコンピュータ会社・MemoryDealersの経営成功により巨万の富を築きました。
アメリカ国籍を放棄した後、タックスヘイブンとして知られるカリブのセントクリストファー・ネイビスの国籍を取得。現在は日本で生活しており、日本の文化にも精通しています。
Roger Ver氏は国境を超えて中立の経済圏を形成できるビットコインの可能性に着目し、2011年からビットコインへの投資を開始。仮想通貨情報サイト・bitcoin.comやビットコイン決済型通販サイト・bitcoinstore.comなどを設立しました。世界で最初にビットコイン関連のスタートアップを本格的に立ち上げた投資家であり、「ビットコイン・ジーザス(ビットコインの神)」の異名で呼ばれることもあります。
しかし、いつまで経っても解決しないビットコインのスケーラビリティ問題を懸念し、最近ではビットコインキャッシュに鞍替えしたことで話題になりました。「ビットコインキャッシュは近い将来ビットコインを超える」と語るRoger Ver氏の熱意は現実化するのか?今後の動向に注目です。
Anondran(アノンドラン)
出典:twitter
Anondran氏は、仮想通貨のアナリストです。自ら「仮想通貨の熱狂的マニア」と公言しており、ビットコインやイーサリアムを中心にZCash(ジーキャッシュ)やRaiBlocks(ライブロックス)など様々な仮想通貨取引取引に従事しています。
独自の視点で相場を分析し、ツイッター上で自分の意見を公開しています。2015年頃から投稿を開始し、すでに2万人以上のフォロワーを集めています。
最新の情報をいち早く紹介してくれる利便性があるほか、レートの乱高下に本気で腹を立てているような熱いツイートもしばしば散見され、見ているだけでも楽しめます。
まとめ
仮想通貨取引をしている日本人トレーダーのツイッターアカウントをフォローするのも良いですが、やはり業界の第一線で活躍している海外の要人の方が新鮮な情報を発信してくれます。日本人同士でなれ合っているだけでは身につかない慧眼を会得したい方は、ぜひ海外の情報にも積極的に意識を向けましょう。
以下に各仮想通貨の公式ツイッターアカウントも併せて記載しておきます。公式発表を確認したい方は、こちらも併せてフォローしておくと良いでしょう。