少額でも効率よく取引できる手法として一般的になっているのがFXです。
仮想通貨への投資が注目される中、仮想通貨の取引でもFXの手法を利用できる取引所も増えてきました。
今回ご紹介するのは、FXが可能な国内の仮想通貨取引所です。FXの最大の魅力であるレバレッジ取引を利用して、効率よく仮想通貨取引をする方法もお伝えします。
ビットコインFXとは
仮想通貨の取引でレバレッジ取引を利用することを俗に「ビットコインFX」と呼びます。ビットコインは仮想通貨の代表ですよね。そしてFXとは証拠金取引のことで、レバレッジを活用して、手持ちの資金よりも大きな金額分の取引が可能になる取引のことです。
例えば、1ビットコイン価格が100万円だとしましょう。
レバレッジを掛けない現物取引であれば、手持ち資金は100万円必要ですが、レバレッジ25倍であれば手持ち資金は4万円で済みます。※下図参照
証拠金取引についてもう少し詳しくご説明します。証拠金取引では、口座のお金を直接取引に利用せずに、証拠金として取引業者に預けます。手持ちの資金を担保にして、さらに大きなお金を借りるイメージが分かりやすいかもしれません。
証拠金取引で有名なのはFXですが、同じく証拠金取引でレバレッジを使うものとして、信用取引や先物取引があります。
FX、信用取引、先物取引について簡単な比較をしておきましょう。
FX | 信用取引 | 先物取引 | |
---|---|---|---|
現物のやりとり | なし | あり | なし |
決済期限 | なし | なし | 限月で強制決済 |
手数料 | 無料※一部業者は有料 | あり | あり |
・FX
FXでは「買い」「売り」どちらかのポジションを取ります。保有しているポジションと逆の取引、例えば「買い」ポジションであれば「売る」)をすることによる差額を決済することになります。
実際に売買にかかるお金や仮想通貨のやり取りはありません。
・信用取引
信用取引は、お金を借りて仮想通貨を借りたり、仮想通貨を借りて売ったりする取引です。借りているものですから利子にあたる手数料を支払わなければいけません。実際にお金や仮想通貨のやり取りをします。
・先物取引
未来の決められた期日まで仮想通貨を買ったり、売ったりする権利の売買をするのが先物取引です。先物取引は決済の期限が決まっているFXと考えるといいでしょう。
FXの場合はポジションを決済しなければ損益が確定しませんが、先物取引では限月と呼ばれる期限がくると強制的に決済されます。
取引所の選び方のポイント
ビットコインFXができる業者はたくさんありますが、どうせやるならいい条件の取引業者を選びたいですよね。ビットコインFXの魅力であるレバレッジや手数料などを比較して自分に合った業者を選ぶことが重要です。
また、仮想通貨は値動きが激しい上に、レバレッジ取引では少しの値動きでも大きな損益につながるため、いつでもどこでも取引できる利便性も重要なります。
ここでは、ビットコインFXをする上で重視したい6つのポイントについて解説します。
※下の各項目をクリックすると解説文が開きます。
上の6項目を踏まえた上で取引所毎のサービススペックを比較してみます。
取引所のスペック比較表
取引業者を選ぶ6つのポイントから国内のビットコインFXが可能な取引所を評価したのが下の表です。
取引所名 | レバレッジ手数料 | 取引手数料 | レバレッジ | 取り扱い通貨(FX) | スマホアプリ | 使いやすさ | 安全性 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Zaif | 0.04% | 無料 | 最大7.77倍 | BTC/MONA | ◎ | ◎ | ◎ |
coincheck | 0.04% | Taker 0.15% Maker 0% | 最大5倍 | BTC/ETH/ETC | ◎ | ◯ | ◎ |
bitflyer | 0.04% | 無料(期間限定) | 最大15倍 | BTC | ◎ | ◯ | ◎ |
bitbank Trade | 0.2%(利益にのみかかる) | 0.01%(新規&決済時) | 最大20倍 | BTC | - | △ | △ |
GMOコイン | 0.03% | 無料 | 原則5倍(最大25倍) | BTC | ◎ | ◯ | ◯ |
BITPoint | 0.04% | 無料 | 最大25倍 | BTC | ◯ | ◯ | △ |
みんなのBitcoin | 0.05% |
BTC/JPY:無料 BTC/JPY以外:約定金額の0.25% |
最大25倍 | BTC/ETH | - | ◯ | △ |
Liquid by QUOINE | 0.005~0.02%(変動有) | 無料(期間限定) | 最大25倍 | BTC/ETH | ◯ | ◯ | △ |
BTCBOX | 0.6%(変動有) | 0% | 最大5倍 | BTC | ◯ | ◯ | △ |
手数料の面から見てみると、0.04%のところが多く、一番低いGMOコインで0.03%です。最大レバレッジは国内では25倍までと決まっているので、最大は25倍です。レバレッジ倍率は業者によってかなり幅があります。最大レバレッジの他、何倍刻みで利用できるかも確認しておいた方がいいでしょう。
スマホアプリについてはほとんどの業者がリリースしていますが、実際に利用しやすいものというとZaif、coincheck、bitFlyer、GMOコインの4社に絞られます。
安全性から言えば、コールドウォレットや最先端のセキュリティ技術を採用しているZaif、coincheck、bitFlyerが抜群です。中でもcoincheck、birFlyerはハッキング被害などに備えて補償制度も設けているのでさらに安心です。
金融庁に仮想通貨交換業者として登録済み業者一覧
安全性や公平性といった、取引する上で重要な項目に対するお墨付きを金融庁から得ている取引業者もあります。
2017年から金融庁に仮想通貨交換業者の登録ができるようになりました。金融庁が登録を認めたということはそれなりの厳しい審査に合格をしたということです。
安全性、取引の公正さなどが認められ、登録を完了している業者は次の6社です。
安全性や使いやすさなどが認められ、金融庁への登録が完了している業者は利用している人や取引量が増えています。多くの人に利用され、信用できる取引業者でビットコインFX取引するのがおすすめです。
おすすめ3選。結局どれがいいかわからない人はここから選ぼう
ビットコインFXをする取引所を選ぶ上での6つのポイントをお伝えしましたが、結局どの取引所を選べばよいのか迷ってしまうこともあるでしょう。
そこで、6つのポイントのうち特に重要な次の3つのポイントをからおすすめの取引所をご紹介します。
- レバレッジ手数料が安い
- スマホアプリが使える
- 安全性が高い
仮想通貨FXをこれから行いたいと考えている方はぜひ参考にして下さい。
スマホアプリ、使いやすさ、安全性の3拍子がそろったZaif
ZaifのビットコインFXは信用取引と先物取引で行います。レバレッジ倍率は最大7.77倍で、比較的低い倍率です。その分、取引手数料は無料で、レバレッジ手数料も平均的な0.04%です。資金の無駄なく投資効率を上げることができます。
ビットコインの他、モナーコインという日本発の仮想通貨もレバレッジ取引できるのもZaifの特徴のひとつです。
レバレッジ取引との相性がいいスマホアプリや取引画面の見やすさ、安全性の面から、迷った場合にはまずZaifをおすすめします。
2. 3種類の仮想通貨でFX取引が可能なコインチェック
国内取引所で取扱い仮想通貨数No.1のコインチェックではレバレッジ取引でも3種類の仮想通貨を取引できます。ビットコイン、イーサリアムに加えてイーサリアム・クラシックがレバレッジ取引できるので、利益を上げるチャンスが多くあります。
レバレッジ倍率は最大5倍で低い設定になっていますが、3種類の通貨で取引することで利益拡大もリスク分散も可能です。
ビットコイン以外の仮想通貨でレバレッジ取引をしたい人はコインチェックを利用するといいでしょう。
3. 最大レバレッジが15倍のビットフライヤー
ビットフライヤーでは最大15倍という大きなレバレッジで仮想通貨を取引することができます。
ただし、ビットコインFXを利用するにはアカウントをトレードクラスにする必要があります。電話番号認証や本人確認を終えるとトレードクラスとなり、bitFlyer Lightningという取引画面を利用することができます。bitFlyer LightningはFX取引に特化した取引画面ですので、必要な情報が一目で分かるようになっています。
レバレッジ取引メインで仮想通貨をしたい人には、取引開始までの手順が複雑ではありますが、ビットフライヤーが向いています。
ビットコインFXのやり方
さて、ここまでビットコインFXを始めるにあたっての業者選びについて主に述べてきました。ここからは、ではどうやってビットコインFXの取引をするのか、ということをご説明していきます。
具体的にレバレッジ2倍の場合と25倍の場合の取引を考えてみます。
※シミュレーションでは分かりやすくするため手数料は無視しています。
レバレッジ2倍の場合
まずはレバレッジ2倍の取引です。口座の資金の2倍までの取引が可能になります。
口座に10万円あるとすると20万円分まで取引できます。100万円分の取引がしたい場合には50万円の資金を用意すればいいことになります。
レバレッジ2倍の取引を具体的にシミュレーションしていきます。
・口座に10万円あり、20万円までの取引が可能な場合
1BTC=200万円を想定してみましょう。20万円で購入できるのは0.1BTCとなります。購入する場合には買いポジションを持つという言い方をします。
今度は1BTC=210万円と10万円の値動きがあったとしましょう。すると0.1BTC=21万円です。ここで売却すると21万円-20万円で1万円の利益です。もともとの資金は10万円でしたから、1割の利益となり、かなり効率のいい投資だということが分かります。
またビットコインFXはビットコインを購入するのではなく、売却からスタートすることもできます。売りから取引を始める場合には売りポジションを持つと言います。売りから始めた場合には、値段が下がったところで買うと差額分が利益になります。逆に値上がりしたところで買うと損になります。
どういうことか、先ほどと同じ条件で考えてみましょう。口座に10万円、レバレッジは2倍で1BTC=200万円のときに、ビットコインを売るのです。先ほどと同じく0.1BTCを売ることができます。1BTC=180万円まで値下がりしたところで売りポジションを決済すると、0.1BTCは18万円になります。20万円で売って18万円で買うわけですから差額は2万円になります。この場合、10万円の元手で2万円の利益を手にすることができます。
レバレッジ25倍の場合
次に、レバレッジ25倍の場合を考えてみましょう。
日本国内で25倍のレバレッジが使える取引所は
の5社です。
レバレッジ25倍の場合、口座に10万円あれば250万円までの取引が可能になります。100万円分の取引をしたければ4万円が口座に入っていればOKです。
レバレッジ2倍の場合と同じく、口座に10万円、1BTC=200万円の場合をシミュレーションしてみます。
レバレッジ25倍ですから250万円分の取引となり、2.5BTCを購入することができます。もちろん、売りポジションから始めることもできます。
さて、購入した2.5BTCがその後1BTC=205万円にまで値上がりしたところで売却したとします。この場合の利益を計算してみましょう。
今、保有している2.5BTCは2.5×205=512万5,000円の価値があります。購入した時には2.5×200=500万円でしたから、差額は512万5,000円-500万円=12万5,000円となります。
10万円の元手で12万5,000円の利益となり、利率は120%を超えます。
レバレッジ2倍の場合と25倍の場合では、値動きが少なくても25倍の方が利益は大きくなります。レバレッジが高いと大きな取引が可能になるので、利益も大きくなるのです。
少額の資金でも大きな額の取引ができる
レバレッジ取引では大きな額の取引が可能で、資金効率よく利益を出すことができます。手元資金と取引可能額について考えていきましょう。
ビットコインFXは証拠金取引ですから、自分の資金そのものを使って取引するわけではありません。手元資金は証拠金として預け、レバレッジの範囲内で取引をすることになります。実際に現物のやり取りをするわけではなく、売買の差額のみを決済する形になります。
110万円で買いポジションを決済する際にも、110万円でビットコインを売るわけではありません。
ポジションを持った時の100万円と決済した時110万円の差額10万円を利益として得たり、損失として支払ったりするのです。取引の結果だけが反映される取引と考えると分かりやすいでしょう。
取引の結果だけが反映されるのが証拠金取引ですから、実際の取引に必要な資金を必要とせず、手元資金よりも大きな額の取引が可能になります。
手元資金に比べてどこまで大きな額の取引が可能になるのかを表しているのがレバレッジです。レバレッジ倍率と手元資金によって取引可能額がどう変化するか、簡単な計算方法を確認しておきましょう。
逆に、取引金額から必要な資金を知りたい場合は、
例えば200万円分の取引をしたい場合、レバレッジ25倍ならば200÷25=8万円が必要になります。
流動性リスクに注意しよう
ビットコインFXのようなレバレッジ取引ではほんのわずかな値動きでも大きな結果につながります。特に大きな損失につながるというリスクはよく理解しておかなければいけません。
小さな値動きでも大きな損失になりうるビットコインFXで大暴落が起きたらどうなるでしょうか。その損失の大きさは計り知れません。暴落時には損失拡大を避けるために、誰もがなるべく早く売ろうとします。
売り注文ばかりで誰も買おうという人がいなければ取引は成立しません。その結果どうなると思いますか?
そう、損失はどこまでも膨らんでいきます。
損失を最小限に食い止めるために必要なのは、
- 買いたいときに買えて、
- 売りたいときに売れる
- つまりは、注文が約定しやすい状態
の時に取引しなければダメということです。逆に注文が約定しにくい場合には損失が拡大しやすいと言えるでしょう。
また、取引の回数や量が多い場合にもマッチングしやすくなります。
この売り買いのマッチングのしやすさを流動性といいます。流動性が高ければ約定しやすくなりますし、流動性が低いと約定しにくいということになります。
ビットコインFXではビットコインの暴騰、暴落時のリスクを最小限にとどめるために、流動性の高い取引所を選ぶことが重要になります。流動性という意味でも先ほどご紹介した3つの取引所は利用者数、取引量ともに多くおすすめです。
初心者にはおすすめしない!経験を積んでから始めるべし
ビットコインFXはレバレッジ取引初心者にはおすすめできません。たとえFX経験者であっても、仮想通貨取引をしたことのない人にもおすすめできません。
まず、レバレッジ取引は資金効率よく利益を上げられるというメリットの裏返しとして大きな損失になりやすいというリスクがあるからです。また、仮想通貨は1日で10%程度の値動きは頻繁に起こり、為替や株式とは値動きの幅が比べ物になりません。
初心者の場合はレバレッジ1倍を利用してリスク管理の方法を学び、経験を積んでからレバレッジ倍率を上げるようにしましょう。
FXの経験はあっても仮想通貨の経験がない人は、まずビットコインやその他の仮想通貨の現物取引をから始めましょう。他の投資と同じようにビットコインFXに取り組むことはリスクが大きくなります。
ビットコインFXは決してギャンブルではありません。最低限の知識や経験を積んだ上で、しっかりリスク管理をしながら取り組むのがいいでしょう。
まとめ
少額からでも大きな取引が可能なレバレッジ取引は魅力的です。国内の仮想通貨取引所でレバレッジ取引が可能なところは増えてきてはいますが、取扱い通貨数が少ないのが現状です。
そんな中でも、今回ご紹介した6つのポイントを理解し、自分に合った適切な取引所を選ぶことができれば、十分に利益を上げることができるでしょう。
ただし、レバレッジ取引にはリスクもあることを念頭に、慎重な取引をこころがけてください。