Bancor はICO開始からわずか3時間で170億円近くを調達したという大注目の仮想通貨です。
Bancorは仮想通貨の種類が増えることで懸念されている「流動性リスク」を解決することを目的に始まったプロジェクトです。
流動性リスクとは、「買いたいのに買えない」「売りたいのに売れない」という状況のことです。Bancorはどのようにこの流動性リスクを解決するのでしょうか。
最大規模のICOとなったBancorの特徴や仕組み、将来性について詳しく解説していきます。気になる価格上昇の可能性やBancorの買い方もお伝えしますね。
Bancor(Bancor Network Token)とは
Bancorとは仮想通貨のトークンの種類が増えることで懸念されている「流動性リスク」を解決するためのプロジェクトです。Bancorプロトコルの中での基軸通貨として発行されているのがBNTというトークンになります。
ちょうどイーサリアムとETH、NEMとXEM、オーガーとXRPと同じような関係ですね。
BNTはBancorのプロジェクトではプロジェクトの資金を集めるため、ICOで発行されました。BNTのICOでは、開始からわずか3時間で170億円を調達し、ICO以上最大規模のものでした。
BNTの発行枚数やBancorのホワイトペーパーについてまとめたのが次の表になります。
発行単位 | BNT |
---|---|
呼称 | Bancor(バンコール) |
発行可能総数 | 80,036,199 BNT |
公開日 | 2016年4月 |
価格決定方法 | 保有者間での自由売買 |
公式サイト | https://bancor.network/ |
ホワイトペーパー | https://about.bancor.network/static/bancor_protocol_whitepaper_en.pdf |
取引所 | バイナンス |
Bancorはもともと1944年に国際会議で提案された「超国家的通貨」のことです。
残念ながら当時は、超国家的な取り組みは採用されませんでしたが、世界経済を安定させる制度として仮想通貨Bancorは、その時提案された「超国家的通貨」の制度を元にイスラエルの企業によって開発されました。
ベースはイーサリアムのプラットフォームで、スマートコントラクトによって、バンコールプロトコルと呼ばれる仕組みを取り入れています。
バンコールプロトコルの考え方こそが、1944年に経済学者のケインズらによって国際会議に提案された仕組みなのです。
仮想通貨の流動性リスクを解決する仕組みとして注目され、大規模なICOとなりました。
バンコールプロトコルについては後ほど詳しくご説明しますが、簡単に言えば、仮想通貨の価格が自動的に決まる仕組みです。
売り手と買い手に合意による価格形成ではないので、いつでも安定した価格で仮想通貨の取引ができるようになります。
仮想通貨取引所の「販売所」システムと似た状況になるため、マイナーなコインであっても取引しやすくなり、結果として仮想通貨全体の流動性が大きく向上します。
Bancorの仕組みと強み
Bancorの主な特徴であるバンコールプロトコルや、その他の特徴について詳しく見ていくことにしましょう。
上述のとおり、Bancorの基本的な考え方自体は第二次世界大戦中にすでに構想されていました。大戦後の経済的混乱を安定させるために、1944年のブレトン・ウッズ会議で経済学者のケインズとシューマッハによって提案されました。
超国家的通貨Bancorの基本的な考え方を受け継いだ仮想通貨Bancorにはどのような特徴、メリットがあるのでしょう。
バンコールプロトコルとは
バンコールプロトコルの内容の説明をする前に、簡単に言葉の意味を確認してみましょう。
まずバンコールですが、これは英語のBankとフランス語のor(金)を合体させて作られた言葉です。ちなみに、ケインズらによって構築された超国家的通貨としてはバンコールの他にも
- ユニタス
- ドルフィン
- ベザント
- ダリック
という名前の候補があったようです。
話がわき道にそれてしまいましたね。本筋に戻って、プロトコルの意味を考えてみます。
プロトコルは「仕様」「規律」「仕組み」などの意味があります。
では、バンコールプロトコルの説明に入りましょう。バンコールプロトコルではあらかじめ組み込まれた計算式に従い、価格が自動的に決定します。この仕組みによって流動性リスクを解決するのです。
本来、市場では売り手と買い手の合意によって価格が決まります。
買いたい人が多ければ価格は上がり、売りたい人が増えると価格は下がります。仮想通貨の取引では、買いたいのに売り手がいない、売りたいのに、買ってくれる人がいない、といいう流動性リスクが指摘されています。
そのため、大手の取引所に上場されていないようなマイナーなコインはなかなか取引が成立しない状況が生まれています。
一方、バンコールプロトコル上では、取引をする際、価格の決定は自動的に行われます。
価格の決定には後述のReserve Token量、トークン発行量から計算によって導き出されます。もし、買いたい人がいれば、決定された価格からトークン発行者から購入します。
売りたい人も決められた価格でトークン発行者に買い取ってもらえます。
売り手、買い手間での取引ではなく、トークン発行者を通じて取引することで、確実な流動性を確保します。
Reserve Tokenとは
Reserve Tokenはバンコールプロトコルを利用してトークンを発行したり、バンコールプロトコル上で取引をする上で必要な準備金の役割を果たします。
準備金を預け入れることで発行するトークンの価値を保証し、流動性を高めるのです。
自動的に計算される価格を決める重要な要素でもあります。
ここで価格を決定する式を見てみましょう。
となります。
BancorのトークンであるBNTはReserve TokenにはETHを使います。
かつて、世界では金本位制が敷かれていましたが、仮想通貨Bancor(BNT)ではETH本位制だということになります。
バンコールプロトコルで新たに発行するトークンをスマートトークンを呼びますが、スマートトークンを発行する際Reserve TokenとしてイーサリアムベースのERC20トークン、または別のスマートトークンに限られます。先ほどの金の例に例えれば、金塊や金の延べ棒、金の像など純金であれば何でもOKということになります。
世界恐慌から世界を救った経済学者の発案
何度もお伝えしているように、仮想通貨Bancorの発想は20世紀の偉大な経済学者の一人であるケインズによるものです。結果的には、アメリカの反対によって実現しなかったとは言え、優れた発想であったことには違いありません。
2008年の世界金融危機に際して、再びケインズの考え方は脚光をあびています。
グローバル化が進む中、バンコールのような超国家的通貨が求められているのかもしれません。
グローバル化や一国の通貨である米ドル基軸に対する反省は、仮想通貨の理念とも合致します。
ほとんどの仮想通貨は非中央集権的な仕組みを目指しており、新しい経済圏を生み出そうとしている点でも、Bancorには大きな可能性がありそうです。
バンコールプロトコルによる、価格の安定
バンコールプロトコルでは価格は自動的に計算されます。売り手、買い手の合意が必要ないため、高い流動性を確保しています。このことは、価格面での安定も意味しています。当然ながら、価格が自動的に決まるので、価格の変動はすくなく、しかも予測可能な範囲での動きになります。
現状では仮想通貨は投機的な面がクローズアップされていますが、価格の安定により、仮想通貨はより実用的な面から評価しなおされるでしょう。
Bancorが買える取引所
大規模なICOを行い注目されたBancorですが、意外にも取引できる取引所はあまり多くありません。Bancorの人気はまだまだこれから、ということですね。
Bancorの取り扱いのある取引所
- Binance
- HitBTC
- Bittrex
世界最大の取引所に急成長したBinance
中国の取引所としてスタートし、日本に本社移転の噂もあるBinanceです。0.1%という低い手数料と取扱通貨の多さ、ハードフォークした通貨への対応で人気を集めています。
海外の取引所ですが、日本語に対応しており、安心して取引できます。
Binanceでは高級車がもらえるなどのユニークなキャンペーンも実施してます。マイナーなコインを売買したい場合は、まずBainanceに口座開設しておくといいでしょう。
・手数料が0.1%(BNBで0.05%)
・日本語対応
・ハードフォーク対応
・取扱銘柄が多い
イギリスの老舗仮想通貨取引所HitBTC
HitBTCはイギリスで古くから営業している取引所です。手数料0.1%でICO直後の仮想通貨も積極的に取り扱っています。ICO直後でも取引できるため、ICOに参加できなかった場合でも新しい仮想通貨への投資が可能です。
国内の取引所ではなかなか対応してくれないハードフォーク通貨の扱いにも対応しています。登録時には個人情報の登録が不要で、本人確認も必要ないため、口座開設後すぐに取引できます。
・手数料0.1%
・ICO直後のコインも購入できる
・ハードフォーク対応
・個人情報登録不要
マイナーなコインが多いBittrex
Bittrexはアメリカの大手取引所で、マイナーなコインの取り扱いが多いことで知られています。
取り扱い銘柄数は約200と世界最大級です。マイナーなコインは単価が低いものも多く、大量に保有できるため、億り人を目指して利用している人も多い取引所です。
アメリカの取引所ですから、日本語の対応はありませんが、それほど難しい英語が使われているわけではないので、比較的使いやすい取引所です。
手数料は高めの0.25%です。
・マイナー通貨が多い
・手数料は0.25%
Bancorの買い方と購入手順を紹介
Bancorを購入するにはBinanceが最もおすすめです。
手数料も低いですし、日本語対応なので安心して取引できます。
Binanceでの仮想通貨の購入は、ビットコインかイーサを使います。日本円での購入はできません。口座を開設したら、まずはビットコインかイーサをBinanceに入金しておきましょう。
入金が終わればいよいよ取引開始です。今回はビットコインでBNTを購入する場合で説明します。
2.画面左上のBinanceのロゴ横「Exchange」をクリックして取引画面に移動
3.取引画面右側の検索窓に「BNT」を入力
4.表示される「BNT/BTC」をクリック
5.BNTの価格チャートや板情報が表示される
6.購入金額、購入量を入力する (円でなくBTC建てなので注意)
7.「購入」をクリック
バンコールプロトコルをもつBNTの購入と言えども、取引所での購入方法は他の仮想通貨と同じです。
ただ、Binanceには多くの銘柄が上場しているので、確実にBNTが選択されていることを確認してください。
Bancorの価格推移とチャートの形状
Bancorの将来性や価格上昇の可能性を考察する前に、これまでの値動きの様子を見ておきましょう。
チャートをご覧ください。
2017年12月から一気に値上がりしていることが分かります。値上がり率は4倍程度です。
これだけ一気に値上がりをしている銘柄はなかなかありません。
ビットコインの送金詰まり問題などから、ビットコインに変わる新しい仮想通貨界の基軸通貨を探る動きがあります。その候補としてイーサリアムが最有力とされていますが、それまでの割安感からBancorにも大きな注目が集まっています。
価格上昇が期待できる材料
Bancorの将来性を支える機能や特徴を考えてみましょう。
Bancorの最大の特徴であるバンコールプロトコルやICO時の熱狂ぶりから、Bancorの将来には可能性があることが分かります。
バンコールプロトコルによってマイナーな通貨の取引が進む
バンコールプロトコルによって流動性に関係なく、通貨の取引が進みます。マイナーな通関の取引が盛んになることで、BNTやBancorベースのスマートトークンの価値は上がっていくことでしょう。
トークンによってあらゆる価値をデジタル化しようというトークンエコノミーの動きが活発になっている現在、新しいトークンの乱立も予想されます。バンコールプロトコルによって、新しいトークンの流動性を確保できれば、BNTがビットコインに変わる基軸通貨になることもあり得ます。
史上最大規模のICOを行ったBancor
Bancorの将来性とは、Bancorプロジェクトへの注目度とも言えます。注目度を計る一つの指針となるのが、ICOでの資金調達額です。
BancorはICOでBNTを発行することで170億円もの資金を集めています。しかもわずか3時間ほどでこれだけの額を調達したのです。多くの人がBancorの理念に賛同し、将来性の高さを感じているということになります。
想定される下落リスク(材料)と心配事
将来性への期待の反面、Bancorには心配されるリスクも存在しています。考えられるリスクとして次の2点を説明していきます。
バンコールプロトコル上ではERC20トークンしか使えない
バンコールプロトコルではReserve Tokenを準備金として使うことで、流動性を確保し、トークンの価値を保証します。BancorではReserve TokenとしてイーサリアムベースのERC20トークンのみが利用できます。
イーサリアムはスマートコントラクトという非常に優れた機能があるにも関わらず、開発言語の複雑さから、普及が進みにくいというデメリットが指摘されています。ERC20トークンはイーサリアムベースですから、トークンの開発にはイーサリアムの開発言語を使わなければいけません。
汎用性が低い開発環境であるため、バンコールプロトコルの利用が進まない可能性もあります。
スマートトークンの乱立でネットワークが無法地帯化するリスク
バンコールプロトコル上で発行されるスマートトークンは、どれだけマイナーであってもある程度の流動性が確保されてしまいます。そうなると、ほとんど価値のないトークンや、不当に利益を得るためにトークンを発行するという事態も起こり得ます。
多くのトークンが発行されることで、ネットワーク全体がコントロールしにくくなり、無法地帯になってしまうかもしれません。そうなると、Bancorプロジェクト自体の成長も妨げられてしまいます。
Bancorの使用用途
仮想通貨が抱える流動性リスクを解決し、スムーズな取引を可能にするという崇高な理念を持っているBancorですが、特にこれと言った使用用途は現在ではありません。
もちろんバンコールプロトコル上でスマートトークンを発行することはできるのですが、その際に必要なReserve TokenとしてBNT以外のERC20トークンが使えます。BNTがなくてもバンコールプロトコルを利用できるということです。
BNTはあくまでもBancorプロジェクトの資金を集めるために発行したトークンですから、用途がない、というのも納得できます。
今後、Bancorプロジェクトが成長するなかで、BNT保有者に何らかのボーナスが付与される可能性もなくもないでが、昨今の規制の状況を鑑みると、配当という形でのボーナスの可能性は低そうです。
ただ、Bancorプロジェクトが成長すれば、株価のようにBNTに付加価値が付き、値上がりすることは十分考えられます。BNT購入はBancorの理念に賛同し、応援する気持ちで購入すると良さそうです。
まとめ
仮想通貨が抱える問題の1つである流動性リスクを解決するBancorについて見てきました。
Bancorプロジェクトが目指すのは、仮想通貨の基軸通貨としてのポジションです。バンコールプロトコルによって、適切な流動性が確保され、価格の変動幅が小さくなっていくことが期待されます。
流動性が高まり、価格の変動幅が小さくなれば、仮想通貨の投機的側面が弱まり、非中央集権的な通貨の普及や、トークンエコノミーの広がりが加速していくでしょう。
仮想通貨全体の発展にも非常に大きな役割を果たすBancorの今後に注目しておきましょう。