ここのところ、仮想通貨の価格だけでなく、日経平均株価やNYダウまでもが超絶な値下がりを見せています。2月5日の日経平均は2月2日の終値から592円安の暴落。2017年末頃に急騰した株が一転して売られまくる展開は、まるでBTC/JPY（ビットコイン/円）の値動きを見ているかのよう。一ケタの温度が続く冬の日本全土同様、金融市場も極寒に見舞われているようです。
こんな時こそ、感動的な話を聞いてせめて心だけでも温まりたいものです。最近は仮想通貨関連のネガティブニュースばかりが取り沙汰されているので、今回は微笑ましい話題をピックアップしてみました。
仮想通貨は世界を救う？
2018年2月2日、フランスのパリに拠点を置くUNICEF France（ユニセフ・フランス）が、非常にユニークな活動を開始して話題を呼んでいます。
なんと、マイニングに参加して獲得した仮想通貨を募金してシリアの子供たちへの支援金に充てることができる「Game Chaingers（ゲーム・チェインジャーズ）」というチャリティキャンペーンを立ち上げたのです。
ちなみにGame Changer（ゲーム・チェンジャー）は英語で「ゲームの流れを一気に逆転させるような影響力を持ったすごい選手」を意味する言葉。Game Chaingersは、ブロックチェーンの"Chain（チェーン）"と"Change"をかけた造語であり、仮想通貨の革新的なテクノロジーをチャリティーに活かそうという想いが込められています。
このキャンペーンに参加すれば、仮想通貨を海外の子供たちの幸せのために役立てることができます。「愛は地球を救う」という24時間テレビのスローガンにあやかれば、まさに「仮想通貨は地球を救う」存在と言えるでしょう。
ユニセフについて
UNICEF（ユニセフ）はUnited Nations Children's Fundの略で、日本語では「国際連合児童基金」と呼ばれている団体です。アメリカのニューヨークに本部を置き、およそ190の国々で子供たちの生命・生活・人権を守る活動を展開しています。紛争地域や発展途上国で不遇な生活を余儀なくされている子供たちに医療サービスを提供したり物資を送ったりしながら、彼らの自立を支援しています。
日本国内では、ユニセフと協力協定を結んだNGO（民間団体）である「日本ユニセフ協会」の存在が有名です。街頭募金だけでなく、銀行振込、クレジットカード決済、Tポイント募金など様々な形態の募金に対応しており、集まった支援金から諸経費を差し引いた金額がユニセフ本部に送られます。
ちなみに日本ではタレントの黒柳徹子さんがユニセフ親善大使を務めており、所定の口座に募金すれば徹子さんが代理人としてユニセフに全額提供いたします。
世間では「善意の募金から経費をピンハネするなんて何事だ！」と日本ユニセフをバッシングする意見もあります。しかし、所詮人間は自分の利益を優先する生き物であり、支援を呼びかける運動を継続的に展開しなければそうそう募金は集まりません。日本ユニセフが経費として計上している費用は団体として活動する上でやむを得ない出費であり、批判するのはお門違いも甚だしい話です。
とはいえ、自分の支援金が100%ユニセフに渡ることを希望する方は、黒柳徹子さんの公式ホームページ「トットちゃん」を活用すると良いでしょう。
Game Chaingers（ゲーム・チェインジャーズ）について
UNICEF France（ユニセフ・フランス）が開始したGame Chaingers（ゲーム・チェインジャーズ）は、シリアで生活している子供たちへの支援金を仮想通貨で調達するプロジェクトです。
テロ組織ISの拠点として知られるシリアは、今なお政府軍と反体制派の戦闘が続く悲惨な紛争地域です。バッシャール・アル＝アサド大統領が統治する現政権は化学兵器の使用をも辞さない強硬派であり、現地では多くの犠牲者を出し続けています。シリアで生活している600万人もの子供たちが、衣食住に不自由する毎日を余儀なくされている現状。本キャンペーンを通じて集まった資金は、彼らの生活のサポートに活用される予定です。
ちなみにGame Chaingersは、ハイスペックなGPU・グラフィックカードを搭載したコンピュータを使用している「ゲーマー」を主な対象としています。仮想通貨のマイニングソフトウェア・Claymore（クレイモア）を実行してEthereum（イーサリアム）を採掘すると、ユニセフのウォレットに自動送金されるシステムになっています。
ゲーマーをメインターゲットにしている理由は、高画質のオンラインゲームをプレイするために高性能グラフィックカードを所有しており、イーサリアムのマイニングにコンピュータのリソースを割けるだけの生活余暇がある可能性の高い人たちだからです。普段チャリティーとは無縁な生活をおくっている人たちにも本キャンペーンを通して募金活動に少しでも参加してもらいたいというユニセフの意図が表れています。
もちろんゲームに興味の無い方でもGame Chaingersに参加することは可能です。また、マイニングをしなくても自分の所有しているイーサリアムを直接募金することもできますし、法定通貨による募金も受け付けています。
当初マイニング参加者の目標人数は200名に設定されていましたが、ローンチからわずか数日で目標を遥かにオーバーするマイナーが参加している現状です。もちろん目標人数を超過した現在でも、マイニングに参加することができます。（キャンペーン期間は3月31日まで。）
ユニセフが仮想通貨キャンペーンを行う理由
権威のある慈善団体のユニセフが仮想通貨を取り入れていることに意外性を感じる方がいるかもしれません。しかし、ユニセフは以前から仮想通貨のブロックチェーン技術に大いに着目していました。
仮想通貨が世界的に注目され出した2016年頃に、ユニセフ・ベンチャーは南アフリカのブロックチェーン新興企業への投資を開始。最近でも2018年1月中旬頃に、オープン・ブロックチェーンのソリューションを開発している企業に対して50,000～90,000ドル規模の大型投資を検討している報道が流れて話題となりました。
米ドル、ユーロ、日本円などの法定通貨で募金を行うと、国家間の送金処理手続きに余計な時間や手数料がかかってしまう問題があります。その点、仮想通貨なら安価で迅速に手続きを進められるため、ユニセフの活動にうってつけなのです。
仮想通貨が社会的意義のある人道的経済活動に使われる理想的な例と言えるでしょう。
Game Chaingers（ゲーム・チェインジャーズ）に参加する手順
Game Chaingersキャンペーンを通してユニセフに募金するには、以下の3つの方法があります。自分に合った方法を選択してください。
マイニングで寄付する
マイニングしたイーサリアムで募金したい方は、トップページの"START MINING"のリンクをクリックしてマイニングのページに移動してください。
CONFIGUREページにてマイニングソフトウェアの設定を行います。
- 自分のニックネームを入力。（アルファベットで4文字以上。ランキングに表示される可能性あり。）
- WindowsかLinuxか使用OSを選択。
- NVIDIAかAMDか使用グラボのベンダーを選択。
- マイニングする仮想通貨（イーサリアム）と送金アドレスは固定されているので、そのまま"NEXT"を押してください。
DOWNLOADページにてマイニングソフトウェアのダウンロードを行います。
- "DOWNLOAD"ボタンを押してインストーラをダウンロード。任意の場所に保存してください。
- "NEXT"をクリックすると、今後の作業の流れや注意事項が表示されます。
- "NEXT"をクリックすると、キャンペーン参加者への感謝を伝えるメッセージが表示されます。
- さっそく、任意の場所に保存したインストーラをダブルクリックしてインストールを開始しましょう。
- さっき設定した自分のニックネームを入力して"Next"をクリック。
- デスクトップ上にショートカットアイコンを作成するか聞かれます。あった方が作業しやすいので、チェックボックスをオンにしたまま"Next"をクリック。
- インストールの設定が完了したら、"Install"をクリック。
- ソフトウェアのインストールが始まります。完了した後"Launch UNICEF Game Chaingers"のチェックボックスをオンにしたまま"Finish"をクリックすれば、ソフトウェアが自動的に起動します。
- ソフトウェアがファイアウォールやアンチウイルスソフトに引っかかった場合は、アクセスを許可してください。
- コマンドプロンプト上でマイニングが実行されます。
一度マイニングソフトウェアが起動したら後は放置でOKですが、GPU使用率や温度の上昇にもある程度気を付けてください。（電気代にも。）
ウィンドウの×ボタンを押せばいつでもマイニングの中断が可能。そしてデスクトップ上のショートカットアイコンをダブルクリックすれば、好きな時にマイニングを再開できます。
マイニングせずイーサリアムで寄付する
すでにイーサリアムを所有している方は、以下のアドレスにイーサリアムを送金して募金することができます。
0x29165d4a5eE555b3B47FA7d4772f35FE41dB2769
マイニングせず法定通貨で寄付する
仮想通貨でなく法定通貨で募金したい方は、トップページの"Make a donation"のリンクをクリックして申込ページに移動してください。
- 一番左の欄に希望寄付額を入力。（単位はユーロ。）
- 真ん中の欄にメールアドレス・敬称（男性・既婚女性・未婚女性）・氏名・住所・郵便番号・都市・国を入力。
- 一番右の欄でクレジットカード決済かPayPal決済かを選択し、クレジットカード決済を選んだ場合はMasterCard・VISA・Carte Bleueのいずれかのブランドを選択後、クレジットカード番号・有効期限・セキュリティコードを入力して"VALIDER"ボタンを押してください。
まとめ
世間では仮想通貨に関してマイナスのイメージが広まっていますが、仮想通貨が慈善事業に活用されるようになれば大きなイメージアップにつながるのではないでしょうか。
個人的に気になるのは、最近の仮想通貨価格の乱高下の中で送金したイーサリアムがきちんと支援金として機能してくれるのかどうかという点。さすがにいきなり資産価値が0になることはないでしょうが、仮想通貨の暴落のせいで子供たちに十分な物資が行き渡らなくなってしまったらそれこそ本末転倒です。そしてハッカーたちにイーサリアムを盗まれないように管理にも気を付けていただきたいものです。
ともあれ、チャートを睨みながら「いくら勝った・負けた」と損得勘定だけで動く人生は、人間としてあまりにも虚しすぎます。時には、自分の仮想通貨を外国の子供たちの未来のために使ってみてはいかがでしょうか。
