中国の仮想通貨取引所のバイナンスが取引高世界一位の取引所となっています。
そのバイナンスが発行している独自トークンがバイナンスコイン(BNB)です。
BNBの価格はバイナンスが取引所として利用者数や取引高があがるにつれて上昇しており、取引所同様に注目されている仮想通貨です。
また、BNBを保有することで、もともと低いバイナンスの手数料がさらに割引になる特典もあります。
今回は、このように実用性も高く、将来性のあるバイナンスコインについて調べてみました。
バイナンスコインとは
バイナンスコインは仮想通貨取引所のバイナンスが発行している独自トークンです。
2017年7月にICOを開始し、バイナンスの運営資金を調達しました。ICO時から2017年12月には300円ほどと、100倍以上の値上がりをしていることで注目されています。
国内の取引所であるQUIONEとの提携も発表され、さらに大きな話題になっています。
バイナンスコインはBNBという単位で取引されており、総発行量は2億枚です。バイナンスコインのICO時のホワイトペーパーなどの情報をまとめると次の表になります。
発行単位 | BNB |
---|---|
呼称 | Binance Coin(バイナンスコイン) |
発行可能総数 | 2億BNB |
公開日時 | 2017年7月 |
開発者 | ChangPeng Zhao(Binance Exchange) |
公式サイト | https://www.binance.com/ |
ホワイトペーパー | https://www.binance.com/resources/ico/Binance_WhitePaper_en.pdf |
取引所 | バイナンスでのみ取引可能 |
バイナンスのように取引所が独自トークンを発行することは珍しくありません。
国内ではZaifがZaifトークンを発行していますし、同じく中国の取引所のKuCoinはクーコインというトークンを発行しています。
いずれのトークンも取引所の成長に比例して値上がりしてきており、今後もこの流れには注目しておきたいですね。
バイナンスの取引手数料割引
ERC20トークン
BNB建てで仮想通貨を購入可
バイナンスコインの特徴をまとめると上記の3つになります。
手数料割引、BNB建てについて、そしてERC20トークンの詳細については後ほど、順に解説していきます。
ここではそれぞれについて簡単に説明しておきましょう。
BNBを保有することで、バイナンスの手数料が半額になるボーナスを受け取ることができます。その際、手数料はBNBで支払います。
また、BNBを使って他の仮想通貨を購入することができます。
取引所が発行しているトークンを使って仮想通貨が購入できるシステムは珍しいものです。
最後に、ERC20トークンとはイーサリアムベースのトークンのことです。
トークンの規格の1つと考えるといいでしょう。イーサリアムベースのトークンはこれからも多数発行されるでしょうから、互換性の高いトークンであると考えられます。
Binanceでのみ購入可能。買い方を紹介
ZaifトークンはZaif、クーコインはKuCoinのみで取引されているように、バイナンスコインもバイナンスでのみ購入可能です。
バイナンスでバイナンスコインを購入するにはビットコインかイーサリアムが必要になります。具体的な購入方法をご紹介しましょう。
バイナンスの口座をまだ持っていないという人は、まずバイナンスに口座を作るところからです。
口座開設は簡単で日本語にも対応しているのでそれほど難しくないので、安心してください。
ここでは口座開設が完了していることを前提にします。
まず、バイナンスにログインします。ログイン時に二段階認証を設定していない場合は、ログイン後、必ず二段階認証を設定しましょう。
仮想通貨取引の原則は「全て自己責任」になります。二段階認証の設定は最低限のセキュリティ対策です。まだの人はいますぐ設定しましょう。
ステップ2:「Exchange」をクリックして取引画面を表示する
画面左上「Binance」のロゴの横にある「Exchange」をクリックします。すると「Basic」「Advandced」が表示されるので、「Basic」を選択します。
取引時に、詳細なチャート分析をする場合には「Advanced」を選択したほうが良いですが、単純に購入するだけであれば「Basic」でいいでしょう。また、どちらを選んでもそれほど操作方法に違いはありません。
ステップ3:購入する通貨と、支払い通貨を選択する
取引画面が表示されたら、画面の右側に注目してください。検索窓の上に「☆Favorites」「BTC」「ETH」「BNB」「USDT」とあります。これが支払い通貨になります。
支払い通貨を選択する
バイナンスコインを購入するために、どの通貨で支払うかを選択します。
繰り返しになりますが、バイナンスでは日本円での購入はできません。
ビットコインで購入する場合には「BTC」、イーサリアムで購入するには「ETH」を選択します。
検索窓に「BNB」を入力してバイナンスコインを選択する
バイナンスでは100を超える通貨を扱っているため、BNBを探すのは大変です。ですから、検索窓に「BNB」と入力するのが手っ取り早いです。
すると、「BNB/BTC」「BNB/ETH」が表示されます。支払い通貨に応じてどちらかを選択してください。
ステップ4:注文内容を入力する
BNB/BTCまたはBNB/ETHを選択すると、バイナンスコインの価格チャートが表示されます。注文はチャートの下にある注文画面から行います。
注文するには、「注文価格」と「注文量」の入力が必要です。
くどいようですが、バイナンスでは日本円ではなく、ビットコインまたはイーサリアム建てでの取引になります。注文価格は日本円表記ではないので注意してください。
ステップ5:注文内容を確認して注文を出す
最後に、注文内容に間違いがないことを確認し、購入ボタンをクリックします。
注文が約定すればBNBが自分のものになります。購入したBNBの量はトップ画面の「Balance」から確認できます。
BNBの使用用途
BNBには他のトークンと同じように独自の利用方法が設定されています。
単なる投機材料としてではなく、実用面からBNBの魅力について見ていきましょう。
BNBの主な利用法は
- 手数料支払い
- 仮想通貨の購入時の支払い通貨
- 新規上場銘柄の投票
の3つがあります。
BNBはバイナンスの中で手数料の支払い通貨として利用することができます。そのほかにも、BNBを支払い通貨としてリスクやトリガー、IOTAなどの仮想通貨を購入することもできます。
現在の用途
手数料として独自トークンを利用できる点がBNBの大きな魅力とも言えます。
どのように利用するのか、そのメリットと使い方を具体的にみていきます。
BNBを手数料として利用するために特別な手続きをする必要ありません。バイナンスに口座開設をした際には、自動的にBNBを手数料支払いに利用する設定になっています。
設定を確認するには、マイページから確認します。
「BNBを手数料として使用」が「ON」になっていればOKです。
BNBを手数料として使用するメリットはどうでしょうか。BNBのメリットはズバリ、手数料が50%OFFです。
バイナンスはそもそも手数料が安いことで人気を集めている取引所です。その手数料がさらに割引になるわけですから、相当魅力的ですね。
手数料については具体的な数字を交えて、そしてBNBを利用して購入できる仮想通貨や投票システムについても、このあと詳しく解説します。
今後の用途
その前に、BNBが今後どのような用途で使われることが期待されているのかを簡単にみておきます。
BNBはERC20トークンであることから、将来的にスマートコントラクトを実装することが期待されています。
そのため、今後の用途として
・仮想通貨のFX取引
・分散型取引所(DEX)での取引
における基軸通貨の役割を果たす可能性もあります。
スマートコントラクトとは、あらかじめ決められた条件を自動的に実行するようにすることです。
これはイーサリアムの最大の魅力であり、今後のブロックチェーンのあり方を左右する大きな機能です。
スマートコントラクトを応用したFXや、取引所を介さずにユーザー間で直接仮想通貨の取引をする分散型取引所(DEX)などが考えられています。BNBはこれらの多様な売買のあり方における基軸通貨になり得ます。
BNBペアで購入できる銘柄が多い
BNBを支払い通貨にして仮想通貨を購入することができます。
例えば日本円でビットコインを購入する場合、「BTC/JPY」のように表記されます。この2つの組み合わせを通貨ペアといいます。バイナンスではBNBペアの通貨が多く用意されています。
代表的なものをいくつかあげておきます。
- IOTA/BNB
- LSK/BNB
- NEO/BNB
- TRIG/BNB
- WAVES/BNB
- VEN/BNB
- XZC(Zcash)/BNB
ビットコイン建てに比べれば、購入できる銘柄はかなり少なめのように思えます。
しかし、例えば国内取引所で独自トークンを発行しているZaifと比べるとどうでしょうか。Zaifトークン建てで購入できる銘柄はありません。まったく取り扱いがないのです。
それに比べれば注目されているリスクやネオにイオタ、そして匿名通貨のZcashの扱いもあることは大きなアドバンテージになります。
取引手数料、出金手数料が割引される
BNBを手数料支払いに利用すると、手数料が50%OFFになることは先ほどご説明した通りです。
では、実際の手数料はどのくらいになるのか、考えてみましょう。
まず、手数料の割引についてまとめると以下のようになります。
支払い通貨 | BNB利用(50%OFF) | |
---|---|---|
手数料 | 0.1% | 0.05% |
通常のバイナンスの取引手数料は0.1%です。これは世界最安水準となっています。
ここからさらに50%OFFですから、0.05%になることになります。
投資をする上で手数料は非常に重要な要素です。手数料が高いと投資効率が悪くなってしまうからです。具体例をあげて考えてみましょう。
例えば手数料が1%で1万円分の仮想通貨を購入したとします。この場合手数料は1万円の1%で100円になります。
手数料:10,000円×1%=100円
手数料分は購入金額から惹かれますので、1万円分購入しても実は9900円分しか購入することができません。
このように、手数料によって購入できる仮想通貨が目減りしてしまいます。これでは効率のいい投資はできません。
では、バイナンスの通常手数料0.1%とBNBでの割引後の0.05%でどの程度差がつくか金額ごとに確認してみましょう。投資金額と、手数料分が引かれた後で購入できる仮想通貨の量を一覧にしてみました。
実際はバイナンスでは円建てはできませんが、分かりやすく円での表記にしてあります。
手数料0.1% | 手数料0.05% | 差額 | |
---|---|---|---|
1万円分購入 | ¥9,990 | ¥9,995 | ¥5 |
5万円分購入 | ¥49,950 | ¥49,975 | ¥25 |
10万円分購入 | ¥99,900 | ¥99,950 | ¥50 |
30万円分購入 | ¥299,700 | ¥299,850 | ¥150 |
50万円分購入 | ¥499,500 | ¥499,750 | ¥250 |
100万円分購入 | ¥999,000 | ¥999,500 | ¥500 |
手数料の数字が非常に少ないため、あまり差がつかないように思いますが、実際にはこれだけの差が付きます。
しかも取引のたびにこれだけの差が付きますから、積み重なると大きな差になります。しかも投資では複利効果を狙うことが大切ですから、ほんの少しの差であっても、結果的には取り返しのつかないほどの差になることもあります。
BNBを購入することで、差額分の節約につながり、かつ値上がりも期待できるのが、BNBが人気通貨になっている理由です。
新規上場させる通貨を決める際の人気投票に使える
バイナンスには多くの仮想通貨が上場しており、草コインから、将来性豊かな銘柄までがそろっています。
バイナンスが世界一の取引所に成長できたのも、この銘柄の多さがあったからこそです。
バイナンスで上場銘柄を決める際には、BNB保有者による投票が行われます。
候補の通貨がバイナンスから示され、投票結果と運営側の意見を総合的に判断して上場する銘柄が決まります。
運営サイドだけでなく、取引参加者も上場銘柄の決定に関われるのが、いかにも非中央中堅的な仮想通貨らしいところですね。東証などの株式市場ではこうはいきません。
東証の株を持っているからと言って、東証に上場する銘柄の決定に口を挟むことはできないからです。
権限をもった一部の人だけで決定するのではなく、コミュニティ全体で決定していくプロセスが仮想通貨の醍醐味の1つといえるかもしれません。
ERC20トークンだから取扱の柔軟性が高い
ERC20トークンはイーサリアムベースで互換性が高いトークンと言えます。
バイナンスコインBNBはイーサリアムベースのERC20という規格のトークンです。ERC20規格のトークンとして有名なものには、オーガーやクオンタムなどがあります。
同じ規格のトークン同士は互換性があり、応用しやすいという利点があります。
今後の仮想通貨界をリードしていくであろうイーサリアムベースの企画を持っているバイナンスコインは、仮想通貨全体に影響を及ぼしうる規格になっているのです。
将来的には、トークン同士の特徴をそれぞれに乗り入れ、例えばオーガーのギャンブルに参加するためにREPではなくBNBを利用したり、ということも可能になるかもしれません。
バイナンスは取引所の成長を通じて、ERC20規格トークンの基軸通貨をめざしているのかもしれませんね。
四半期毎にバイナンス側にて発行済通貨を買い戻しを行うため価値が保たれやすい
実はバイナンスコインは少しずつ枚数が減っていく仮想通貨です。
仮想通貨の枚数が減っていくということは、その分相対的に価格は上がっていくことになります。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。そこにはちょっとしたからくりがあります。
バイナンスコインBNBを購入するメリットとして、手数料の割引がありました。割引率は50%なのですが、実は割引率は1年ごとに半減していき、5年後には割引なしになります。
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 |
---|---|---|---|---|
50%OFF | 25%OFF | 12.5%OFF | 6.75%OFF | 割引なし |
割引がなくなれば、当然BNBを保有するメリットは価格の値上がり期待だけです。
そこで、値上がりしやすい仕組みとして、バイナンス自身が市場からBNBを買い上げるのです。
バイナンスでは四半期ごとに、取引所が上げた利益の20%分のBNBの買い戻しをします。
バイナンスがBNBを購入するということです。これにより、市場のBNB供給量は減りますし、大量の買い注文が入ることになるので値上がりしていきます。
このように、BNBの手数料割引というメリットが減っていく代わりに、BNBの価格が上がっていきます。バイナンスが成長するほどにBNBの価格が上がっていく仕組みにと言えます。
BNBの価格推移とチャートの形状
BNBの発行からの値動きの様子を確認してみましょう。
チャートの形状から、BNBの価格上昇の要因やこれからの値上がり期待を予想することができます。
BNBの発行後はほぼ無価値で移行していましたが、バイナンスが取引所としてのサービスを開始した時期から値段が付き始めます。
手数料割引を狙って多くの人が購入した結果だと思われます。
その後、ビットコインのハードフォークコインを配布することを発表した12月中旬以降BNBが一気に値上がりしました。この時期は多くの日本人もバイナンスに口座を開設していたと思われます。
2017年末から2018年始は、仮想通貨全体が下げからの急騰を経験しました。BNBも同じように下げてからさらに急騰しています。
チャートを見ていて、一番に目が行くのが、その後の2018年1月中旬からの急激な値上がりです。この時期はバイナンスが四半期ごとのBNB買い戻しをした時期にも重なります。供給量の減少が価格に及ぼす影響の大きさがよく分かります。
バイナンスが成長するほどBNBの価格上昇につながる可能性が高い
さきほど、BNBをバイナンスが買い戻すことについて説明しました。
BNBをバイナンスが買い戻すことで、供給量が減り、相対的に価格が上がる仕組みになっているのでしたね。
買い戻し量は、バイナンスの利益の20%と決められています。ですから、バイナンスが成長すればするほど、利益は大きくなりますから、BNBの供給量も減っていきます。
そのため、バイナンスの成長スピードが大きければ大きいほど、BNBの市場供給量は急速に減っていくことになります。
バイナンスの成長とBNBの値上がりには大きな関係性があることは自明のようです。
いずれは割引がなくなるといっても、もともと低い手数料が人気のバイナンスです。
手数料割引が完全になくなる5年目までは手数料割引目当てでBNBを購入する人も多いでしょう。バイナンスに口座開設し、取引をする人が増えるほどに、BNBを購入する人が増え、価格が上がっていくことになります。
やはり、バイナンスの成長がBNBの価格上昇のカギになっているようです。
考えられる価格下落リスクと引き金となる材料
バイナンスコインBNBにも下落リスクはあります。価格下落につながりそうなリスクとして2点あげておきます。
・イーサリアムベースであること
この2点はいずれもBNBの価格上昇のカギになるものです。物事は表裏一体ですから、一見するとメリットに思えるものも実はリスクにつながることもあります。
バイナンスが取引所として成長していけばBNBの価格上昇はほぼ確実と言えるかもしれません。
しかし、逆の場合はどうでしょう。バイナンスが現在の世界最大の取引所としての地位から陥落した場合にはBNBの価格はどうなってしまうのでしょうか。
バイナンスは現在の取引所形態から、将来的には分散型取引所を目指しています。
しかし、分散型取引所としてはEtherDeltaやWavesなどの先発組もありますし、今後もっと有力な分散型取引所が表れる可能性もあります。
バイナンスがこれらの分散型取引所に勝る特徴、魅力的な仕組みを打ち出す必要があります。
イーサリアムベースのトークンはすでに多く存在しており、人気仮想通貨にもなっています。
イーサリアムのブロックチェーンを利用することは、イーサリアムの安定性や機能を利用できるという大きなメリットです。
ところが、もしイーサリアムに何らかの不具合が発生した場合にはどうなってしまうでしょうか。BNBだけでなく、他のERC20規格のトークンも大きな影響をうけることになります。
まとめ
世界最大級の仮想通貨取引所バイナンスが発行している独自トークン、バイナンスコインBNBについて見てきました。
BNBにはリスクは存在するものの、それを上回る値上がり期待があります。
バイナンス自体は低い手数料、取扱銘柄の多さ、そしてユニークなキャンペーンで他の取引所を圧倒するスピードで成長し、あっという間に取引高世界一になってしまいました。
世界一の取引所でお得に利用できるコインが人気通貨にならない理由はあるでしょうか。バイナンスコインがどこまで値上がりするのか、非常に楽しみです。