仮想通貨取引に対する規制の動きが強まる中、金融庁のホワイトリストに入っている仮想通貨に注目が集まっています。
今回はホワイトリスト入りしている仮想通貨の中でも上場企業が発行したフィスココインについて調べてみました。
フィスココインは正確にはトークンになりますが、上場企業として初めて外部向けにトークンを発行した事例としても注目したい仮想通貨です。
また、フィスコのグループ会社である「カイカ」や「ネクス」も同様に独自トークンを発行しており、企業によるトークン発行の流れの最先端を行っているのが株式会社フィスコです。
先進的な取り組みである上場企業によって発行されたトークン、フィスココインの将来性について見ていきましょう。
フィスココイン(FSCC)とは
フィスココインは通貨単位FSCCで、株式会社フィスコによって発行された独自トークンです。
ビットコインのブロックチェーンを利用したカウンターパーティー(XCP)を利用して発行されたトークンで発行量は5,000万枚です。
株式会社フィスコは投資についての情報やアドバイスをする上場企業です。
フィスココインは平成28年12月期の株主優待として1株につき1FSCCが配られた経緯があります。フィスコ保有分と株主配布分などの詳細は次の表をご覧ください。
発行単位 | FSCC |
---|---|
呼称 | フィスココイン |
発行可能総数 | 50,000,000 FSCC 最小取引単位:0.00000001FSCC |
発行者 | フィスコ社 |
配布先 | 2016年12月期中間期末の株主のうち、フィスココイン配布への参加を希望してフィスコ社所定の手続を完了した株主が対象。 なお、2016年6月30日現在の株主名簿上の株主を対象としてフィスココインの配布に関する案内をする予定。 |
配布の対価 | 無償 |
配布総数 | 2016年12月期中間期末の単元株式以上保有の株主のうち、本実験に協力できる株主に対して、権利確定日現在の株主名簿上の株式数に応じて配布。 |
フィスコ社留保分 | 株主に対して配布する数を発行総数5,000万枚から控除した数。 |
配布方法取引所 | 株主には、2016年8月末日を目処にサービス開始を予定するフィスコ仮想通貨取引所にて口座開設をしてもらい、同口座を通じて配布する予定。詳細は株主へ郵送にて案内。 |
取引所 | テックビューロ株式会社が開設・運営する仮想通貨取引所「Zaif」 にて取引可能 |
使用用途 | 詳細は未定。当初は、クラブフィスコの投資レポートとの交換を可能とする予定。今後、その利用状況を見て、順次、用途を拡充予定。 |
フィスココインは上場企業によるトークン発行という、トークンエコノミーを形成する実験的な試みとして注目されています。
株式会社フィスコはこの試みを通じてでサービスの価値をトークン化し、直接価値のやり取りをするという仮想通貨プラットフォームを目指しています。
FSCCを購入するさいのメリットとしては以下の3点があります。
- 価格が暴落しにくい
- 金融庁のホワイトリスト
- トークンエコノミーの先駆けとして社会変革の場面に立ち会える
FSCCの価格については、発行枚数が決められていることから価格の安定も見込めます。
上場企業によるトークンということで信頼度も高いです。そのため、価格が暴落することはありまないと考えられます。
金融庁のホワイトリストに入っていることからも、FSCCの安全性が高いことは分かると思います。
取引所(登録業者)が取り扱う仮想通貨に入加わる事。
なお、金融庁が許可していない仮想通貨を取り扱っていると仮想通貨交換業者として金融庁に認められません。金融庁が認可した仮想通貨交換業者は以下の通りです。
出典:仮想通貨交換業者登録一覧
株式会社フィスコによる実験的な試みであるFSCCの価格推移や今後の使用用途の広がりによって、トークンエコノミーという新しい経済圏を形成する場面を目撃することになります。
これまでにない、新しい社会の在り方という大きなテーマで考えると、ワクワクしてきますね。
発行枚数は5000枚。追加発行はロックしている
発行上限枚数が決められていることで、価格の安定が見込めるということをお伝えしました。
ここからはFSCCの発行枚数について少し詳しく解説します。
株式会社フィスコがFSCCを発行する際、5,000万枚の発行を決めました。その際、追加の発行についてはしない(ロック)という方針を出しています。つまり、FSCCの量は増えることはないということです。
流通量を固定し、用途を拡大することで、実需を向上させながらも、価値の希薄化を防ぐ目的があります。
これにより、FSCCの価格の暴落は起こりにくいということになります。例えば、カードゲームで強いカードをみんなが持っていればそのカードはもはや強いカードではなく、普通のカードです。
いくら用途があったとしても、発行量が増えてしまえばその分価値は下がります。
ちなみに株式会社フィスコが想定している流通量は1,100万枚です。しっかりと計画的に作られた仮想通貨ということで、中央集権的だという批判もあります。
株式会社フィスコとは
ここで、FSCCの発行元である株式会社フィスコについても少し触れておきましょう。
フィスコは市場調査を通じて、投資支援サービスを行う会社です。2006年6月に東証JASDAQグロースに上場し、資本金は12億円ほどです。
フィスコが行っている市場調査には大きく分けて4つあります。
- 株式市場
- 通貨市場
- 金利市場
- 商品市場
これらの市場調査を通じた情報をフィスコの情報サービスを通じて、投資家に提供しています。
M&Aによって経営の多角化も進めており、ネット旅行業も手掛けています。
フィスコは独自トークンFSCCを発行していることからも分かるようにブロックチェーン技術を使った仮想通貨プラットフォームの構築を目指しています。
投資支援を行う会社が、投資商品としても注目されている仮想通貨を扱うことから考えると、株式会社フィスコがトークンエコノミーに可能性を感じている、ということをうかがい知ることができます。
最後に株式会社フィスコの沿革を確認しておきましょう。
年月日 | 出来事 |
---|---|
1994年4月 | 設立準備 |
1995年5月 | 株式会社登記 |
2002年10月 | 個人向け情報提供サイト「クラブフィスコ」の開始 |
2004年9月 | 本社を東京都千代田に移転 |
2006年6月 | 大証ヘラクレス(当時)に上場 |
2007年10月 | 伊藤忠商事、楽天証券と業務・資本提携 |
2010年5月 | FISCO International Ltd.を香港に設立 |
2016年10月 | 株式会社グロリアツアーズを株式取得により連結子会社化 |
企業業績や会社の信頼性
FSCCの価格を支えている要素として上場企業によるトークンであるという面があります。
では、株式会社FISCO自体の業績や信頼性はどうなのでしょうか。直近の業績について確認してみます。
2015年12月 | 2016年12月 | 2017年12月 | |
---|---|---|---|
売上高 | 10,206 | 14,004 | 14,219 |
営業利益 | -553 | -778 | 19 |
経常利益 | -950 | -1,003 | -203 |
当期利益 | -141 | -1,193 | 719 |