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コインチェックが日本円出金再開に伴い緊急記者会見を開く!発言内容を考察

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2018年2月13日、以前から報道されていた通り、コインチェックが日本円の出金を再開しました。

一日の日本円の出金総額は400億円以上にものぼり、同日付の手続きは全て完了した模様。翌日以降の出金にも順次対応していくとのことです。

1月26日に約580億円分のXEM(ネム)が不正流出して以来、投資家保護のために日本円の入金以外の各種サービスがすべてストップしていましたが、ようやく一歩前進したことになります。

そして同日の午後8時からは、同社取締役COOの大塚雄介氏が緊急の記者会見を開きました。30分程度の短い時間ながら大塚雄介氏の発言の中にはいくつか見どころもありました。記者会見での発言内容をまとめてみましょう。

ポイント1:事業の継続方針

コインチェックが午後8時から緊急記者会見を開くという話がネット上で広がると、「まさか破産申請の報告ではないか」というネガティブな憶測も広がり、仮想通貨の価格が軒並み下落しました。

しかし、大塚雄介氏の口から「今後もコインチェックは事業を継続していく方針である」という発言が飛び出すと、安堵感の買いを誘発し値上がり要因となりました。もしもコインチェックが破産申請するような事態になれば、補償の話がすべて立ち消えとなり、業界の混乱要因となるところでした。その点ではまずは一安心と言えるでしょう。

とはいえ、ハッキング被害者だけでなく仮想通貨の下落によって含み損を抱えてしまった投資家からも損害賠償を請求する訴訟の動きが強まっており、事業の安定回帰にはまだまだ時間がかかりそうです。

そもそもコインチェックが現時点でも金融庁に登録されていない「みなし業者」である事実に変わりはなく、顧客への出金や返金補償の作業と並行して審査も継続して受けなければならない状況。これまでみなし業者を容認していた政府・金融庁も今回の事件をきっかけに仮想通貨事業者に対して厳しい目を向けており、万一審査が却下されれば事業を継続できなくなる可能性もあります。

ポイント2:業務改善内容

金融庁は1月29日にコインチェック社に対して業務改善命令を出しました。コインチェックは

  • 事実関係および原因の究明
  • 顧客への真摯な対応
  • 経営管理態勢の強化と責任の所在の明確化
  • システムリスク管理および再発防止策の構築

の4点について2月13日までにまとめて文書化し、金融庁に提出することを義務づけられていました。そして本日2月13日に、作成した業務改善報告書を金融庁に提出しました。

記者会見でもその話題に触れられたものの、「書面に記載した具体的な内容についてはこの場で言えない」の繰り返しになり、どこから不正アクセスされたのか、具体的にどのような再発防止策を盛り込んだのか、私たち投資家には何もわからない状態です。

後日プレスリリースという形で公表するという話ですが、食い入るように記者会見に注目していた投資家にしてみれば見事に肩透かしを食らった気分です。本当に今後も同社を信用して大丈夫なのか、不信感を抱いた方もいることでしょう。

とはいえ、コインチェックが金融庁に業務改善報告書を提出したのは事実であり、社内で十分に協議された何らかの改善策があることは間違いありません。こればかりは同社を信じるのみです。

ポイント3:返金補償方針

コインチェックは1月28日未明に、ハッキング被害にあったおよそ26万人の投資家を対象とした返金補償を実施することを発表しました。zaifのXEM/JPY(ネム/円)のレートを参考にして、出来高の加重平均で1ネム=88.549円の基本価格を算出。それに各投資家のネム保有数をかけた金額を日本円で返金することが決定しました。

しかし、方針発表から何日経っても具体的な返金原資や日程などが明らかにされず、多くの投資家をいらだたせる状況が続きました。

およそ2週間経った現在でもネムの返金補償方針について一切変更がなく、「もう少しお待ちください」の一点張り。「約460億円の返金額自体は準備できている」という発言は非常に注目に値しますが、確認しなければならないことが多いため現時点では具体的な補償時期を発表することができないと釈明しています。

1ネム=88.549円の補償価格に不満を抱いている投資家も少なくなく、場合によっては裁判の争点になる可能性もありそうです。

そして仮想通貨の出金再開に関しても、安全を確認する必要があり現時点では未定とのこと。依然として先行き不透明な状況に多くの投資家が落胆したことでしょう。

記者会見を見た感想

賛否両論はあるでしょうが、個人的にコインチェックは誠意をもって現時点で出来ることをしている前向きな印象を受けました。

  • 破産申請する予定はないこと
  • 事業継続に向けて動き出していること
  • すでにハッキング被害者への補償金は準備できていること

等のポイントは、仮想通貨業界にとって明るい話題といえるのではないでしょうか。

注目度の高い記者会見だっただけにもっと大きな値動きがあるかと思っていましたが、市場は意外とサバサバしており、小幅な値動きに終始しました。期待するようなポジ要素もなければパニックを誘発するようなネガ要素もなく、ほぼ無風でイベントを通過した感じです。

とはいえ、これはまだ事態解決に向けた第一歩にすぎません。コインチェックから提出された業務改善報告書を精査した金融庁からどのようなお達しがあるか、そして一番肝心な返金補償はいつになるのか、できるだけ早く具体案やロードマップを示していただきたいものです。

海外に目を向けると、2016年8月に香港の仮想通貨取引所・Bitfinexが約12万BTC(およそ80億円)をハッキングによって盗まれた際には、自社オリジナル債務トークン「BFXコイン」をユーザーに支払いました。2017年4月に同社がBFXコインを買いとる形で損害を補償。なかなか粋なやり方に賞賛の声も上がるほどでした。

今後仮想通貨業界でハッキング事件が発生した際には、現地の法定通貨ではなくオリジナルトークンで補償したら良いのではないかと個人的には思っています。今回のコインチェックのように日本円で補償すると課税所得扱いにされてしまう問題があり、後で何かと揉めてしまいます。仮想通貨のトラブルは仮想通貨で解決する!それこそが仮想通貨取引所のあるべき姿なのではないでしょうか。(笑)

まとめ

約580億円分のネムが盗まれるという途方もないハッキング事件を切っ掛けに、仮想通貨業界の信用性は大きく落ちてしまいました。

しかし、落ちるところまで落ちたら後は上がるだけです。ここからコインチェック社が誠実な対応を見せさえすれば、距離を置いていた投資家の信頼も取り返せることでしょう。少しずつでも業界全体が建設的な方向に前進しているのは素晴らしい傾向です。

2月2日にコインチェック社への立ち入り検査を実施した金融庁は、その後9日にも「GMOコイン」とテックビューロ社の「zaif」の立ち入り検査に踏み切りました。みなし業者を含めた国内の約30の仮想通貨事業者にシステム検証を行うよう通達を出しており、13日には無登録で仮想通貨交換業を行っていたマカオの「ブロックチェーンラボラトリー」に対して警告を発令。今後、金融庁に登録することなく日本国内で仮想通貨事業を展開している会社は徹底的に取り締まられていく可能性があります。

業界全体が健全化していくためには、一定水準のセキュリティシステム・経営体制を確立していないような未熟な団体が営業できないようにする法規制が必要不可欠。将来性のある市場をハッカーが一人勝ちするようなくだらない業界で終わらせてはもったいなさすぎます。今回の事件を教訓に、業界全体がプラスの方向に進むことを願うばかりです。

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